2014 Fiscal Year Research-status Report
高血圧者の長期飲酒とアルコール性肝障害進展における交感神経系の関連性の検討
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26860466
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
白鳥 彩子 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (90593301)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | アルコール性肝障害 / 高血圧 / 交感神経系 / 肝星細胞 / SHR |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、高血圧がアルコール性肝障害の増悪リスクとなることを明らかにし、その病態における肝星細胞の関わりについて解明することである。そこで、高血圧自然発症ラット(SHR)に慢性アルコール投与を行い、高血圧症のアルコール性肝障害への影響とそのメカニズムについて検討することとした。 初年度は、7週齢雄のSHRと正常血圧ラット(WKY)の慢性飲酒モデルラット(各々5%アルコール液体食またはコントロール液体食を継続投与させ、計4群で49日間のpair-feedingを行う)について、血液と肝臓を用いて以下の検討を行った。まず、アルコール性肝障害を評価するため、血液生化学検査(血清ALT値、肝内中性脂肪triglyceride値)、肝切片の病理組織染色(Hematoxylin-Eosin一般染色、Oil red O脂肪染色、Sirius red線維染色)、肝組織内の炎症・脂肪化・線維化の関連マーカーの遺伝子発現量を調べた。また、交感神経活性を評価するため、肝内の交感神経活動関連マーカーの遺伝子発現量や血中および肝内のNoradrenalin量を調べた。 その結果、SHR、WKYともに、慢性アルコール投与によって肝機能低下をともなう肝脂肪化および肝線維形成からなるアルコール性肝障害を認め、肝内交感神経系の異常活性化が認められた。さらに、SHRではWKYと比較して、アルコール性肝障害はより進展し、交感神経系の活性異常も増悪する傾向を認めた。以上より、高血圧素因はアルコール性肝障害の増悪リスクとなり得ることが示唆され、この機序の一つとして、慢性飲酒による交感神経系の異常活性化が関与する可能性が示唆された。今後は、アルコール性肝障害の初期病態で重要な役割を示すとされる肝星細胞の関与を中心に検討していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度は、血液生化学検査(血清ALT値、肝内中性脂肪triglyceride値)、肝切片の病理組織染色(Hematoxylin-Eosin一般染色、Oil red O脂肪染色、Sirius red線維染色)、肝組織内の炎症・脂肪化・線維化の関連マーカーおよび肝内の交感神経活動関連マーカーの遺伝子発現量の測定、血中および肝内のNoradrenalin量の測定を終え、概ね研究計画に則って研究が進められたため。
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Strategy for Future Research Activity |
研究実施計画に則り、肝障害や肝内の交感神経活動の関連マーカーの発現については、蛋白レベルでの評価を行う。また、アルコール性肝障害と交感神経系の異常活性化における肝星細胞の関与については、蛍光免疫染色の他に通常の免疫染色による検討も考慮しながら、進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
動物飼育料や共同機器使用料、論文投稿にかかる費用等が予定より低額に抑えられ、未使用額が生じたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
未使用額については、平成27年度に計上した研究費と併せて、肝障害や肝内交感神経活動の関連マーカーの蛋白発現量や免疫染色の実験のための試薬・抗体等の購入に使用する予定である。
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Research Products
(2 results)