2014 Fiscal Year Research-status Report
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26860467
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
道上 知美 大阪市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (00529240)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 死後CT / 呼吸・循環動態 / CT(HU)値 / 法医学 |
Outline of Annual Research Achievements |
法医剖検例の開胸前の胸部CTデータを利用し、画像解析ソフトを用いて心臓・肺の拡張度や肺の含気量・水分含有量分布を3次元的に分析して死因による相違を明らかにしたうえ、死亡過程における致死的呼吸・循環病態について分析した。具体的には、全身用マルチスライスX線CT装置ECLOS(日立メディコ)を用いて剖検前に撮影された胸部CT画像データについて、画像解析システムHyper Q-net、肺気腫診断用画像解析ソフトriskPointerおよび3Dビューワ・ボリュームアナライザーSYNAPSE VINCENT(富士フィルムメディカル株式会社)を用いて心臓・大血管と肺の3次元画像を再構築し、それぞれのCT(HU)値を分析、容積・重量を算出、心臓・大血管や肺の推定容積・重量と剖検時の心重量・心腔内血液量や肺重量との関係を検討することにより、立体的に心臓の拡張度、肺の拡張度や含気量・水分含有量の分布を分析し、剖検所見、病理組織学・生化学・分子生物学検査所見と比較・検討して致死的傷病による死亡過程における呼吸・循環病態の死因別相違について検討した。初年度は、心臓・肺の体積、肺の含気量・含気率および大血管の扁平化率を指標として検討した。その結果、開胸前の推定心臓・肺体積と実測心・肺重量を比較検討すると急性心臓死、中毒死や溺死例などにおいて肺のうっ血・水腫や溺水の吸引・辺縁部気腫、心臓内の貯留血液などを反映する特徴的な所見がみられた。肺の含気量・含気率では心臓死と溺死や窒息死などの間に差がみられ、死因の鑑別に役立つ可能性が示唆された。また、大血管の扁平化率では鋭器損傷や熱中症で血管の扁平化が顕著で、死亡時の循環血液量の減少を反映しているものと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究結果にしたがって、死後CTデータを画像解析ソフトを用いて心臓・肺の拡張度や肺の含気量・水分含有量分布を3次元的に分析して、まずは死因による相違を明らかにすることができた。また、死亡過程における致死的呼吸・循環動態の評価指標の検討に取りかかることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画に従って、窒息死、溺死、凍死(偶発性低体温症)と心臓性突然死について分析するとともに、頭部損傷、中毒死、熱中症、火災死や心膜血腫の症例を併せて死因別に検討し、死亡時の呼吸・循環病態の評価法を確立する。具体的には、① 死後CT画像データの分析各死因群の心臓と肺のCT(HU)値の立体的分布、推定容積・重量を死因群別に分析し、呼吸・循環病態との関係を検討する。② 剖検所見との比較・検討上記のCTデータ分析で得られた心臓・大血管や肺の推定容積・重量と剖検時の心重量・心腔内血液量や肺重量との関係を死因別に検討し、立体的に心臓の拡張度、肺の拡張度や含気量・水分含有量の分布を分析する。また、その分析結果と他の諸臓器の剖検所見を併せて検討する。③ 病理組織学・生化学・分子生物学検査所見との比較・検討上記のCTデータと剖検所見の比較・検討結果をさらに病理組織学・生化学・分子生物学検査所見に照らして死亡過程における呼吸・循環病態の死因別相違を分析する。④ 分析データの総合的評価と致死的呼吸・循環病態の評価法の確これまでの分析データを総合的に評価し、致死的傷病による死亡過程の致死的呼吸・循環病態の死因別評価法を確立して提案する。
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Research Products
(6 results)