2015 Fiscal Year Annual Research Report
身元不明死体の復顔を目的とした顔貌と口腔内事象の視覚的癒合復元システムの開発
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26860469
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Research Institution | Tsurumi University |
Principal Investigator |
勝村 聖子 鶴見大学, 歯学部, 講師 (50410048)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 個人識別 / CT3次元再構築 / 身元不明 / 歯科所見 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、CT撮影による死後画像診断(Ai; Autopsy Imaging)は、遺体を損壊せずに内部情報を獲得できる手段として、死因究明への期待が大きい。一方で、身元不明死体の個人識別には歯科所見が有効であり、これまで習得してきたCT画像3次元再構築技術を応用し、死後画像診断から得られる口腔内情報について、より精度の高い再現法と活用法について検討してきた。 CT画像からの歯科所見獲得で問題となるのは金属による障害陰影であり、この影響で修復物や補綴物の形態再現は困難であった。そこで、歯列形態の表面情報を歯列模型や口腔内スキャナーから獲得し、CT画像から得られる内部情報と共に同一画面上で展開するソフトを目指し、平成27年度は「CTと模型の重畳表示可能な三次元解析ソフト」の開発に至った。身元確認における最終判定は生前資料と死後資料との照合である。これまでCT画像情報は口内法X線写真と同等の詳細所見を得るまでの有用性は認められていなかった。本ソフトは金属障害陰影の影響を最小限に抑え、歯列形態の高精度な復元と、その顎骨内に含まれる埋伏歯や根の形態、根管治療などの詳細な歯科所見についても同一画面上に同時展開することを可能にした。生前資料として提出された口内法X線写真に対応する任意の角度における所見の照合が期待できる。顎口腔領域に加え顔貌全体をよりリアルに再現できるシステムの確立を目指し、研究を継続していきたい。 また歯科臨床領域においては、歯科用インプラントの普及に伴い歯科用CT(Conebeam CT)の導入が進んでおり、今後、診療録やレントゲン写真に替わる生前資料ともなり得る。これらの背景を受けて、死後画像診断に使用されるHelical CTと生前資料となるConebeam CTの特性や再現性を比較検討し、学術論文(Legal Med 18, 2016, 37-43.)を発表した。
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