2015 Fiscal Year Research-status Report
本邦での家族性地中海熱患者の臨床像と原因遺伝子(MEFV)変異の関連
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26860477
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
岸田 大 信州大学, 学術研究院医学系(医学部附属病院), 助教 (50467180)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 家族性地中海熱 / 遺伝子診断 / 月経 / コルヒチン / 自己炎症性疾患 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度に引き続き、臨床的に家族性地中海熱(FMF)が疑われた自験例、あるいは他施設からFMFを疑われて遺伝子検査を依頼された患者に対しMEFV遺伝子検査を行った。平成26年度に本邦におけるFMFの遺伝型と表現型の関連について国際誌に発表(Arthritis Research & Therapy 2014 Sep 27; 16(5):439)したところ、国内における疾患の認知度はさらに高まり、疑い例の遺伝子検査依頼件数は年々増加している。その結果平成27年度は1年間で全国から116件の検査依頼があり、多くの患者の診断、治療に貢献することができた。 各患者の臨床症状、治療薬であるコルヒチン投与の有無とその有効性などに関する検討は順調に進んでおり、その他の関連因子、特に女性患者において発作増悪因子となりうる月経との関連について検討した。女性患者では月経に一致する発熱からFMFが疑われ診断に至る例が時に経験される。当科で遺伝子診断を行った、Tel-Hashomer診断基準を満たす女性患者181例を対象として、月経と発作の関連、各臨床症状、遺伝子変異、治療状況について検討を行った。月経が発作の誘因となっている患者(月経関連群):63例(34.8%)、月経と発作の間に関連がない患者(関連なし群):116例(64.1%)、月経未発来:2例(1.1%)であり、約1/3の患者で月経が発作の誘因となっていた。月経関連群では腹膜炎の頻度(79.4%)、診断価値の高い変異であるexon10のp.Met694Ile陽性率(30.2%)、コルヒチン使用率(60.3%)が、関連なし群と比較し有意に高かった。このため月経の度に高熱を伴う症例ではFMFの可能性も考慮する必要があると考えられた。この成果は第60回日本リウマチ学会総会で報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでの研究成果によりFMFの認知度は高まっており、典型的な症状を非常に長期間繰り返しているにもかかわらず診断がされていなかった症例で診断がつき、治療により症状が軽快する例が相次いでいる。遺伝子変異と表現型の関連が明らかになり、コルヒチンの有効性も遺伝子変異によって違いがあることが分かってきたため、治療反応性の予測やコルヒチンの用法用量を検討することが容易となり、治療の上でも非常に有用であると考えられる。 月経が発作のトリガーになる点に関してはこれまであまり注目されておらず、漠然と月経痛や月経困難症とされてきた患者は多かったものと推測される。FMFの発作であっても数日で解熱することが多いため、それ以上の精査が行われない場合が多かったと思われるが、月経の都度高熱で苦しんでいた患者に原因と治療選択肢が提示できるという点では非常に画期的であると考えられる。 全般的に当初計画に対して順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き全国から多数の遺伝子診断の依頼が寄せられており、件数は年々増加している。症例数が増えているため、遺伝子変異と表現型の関連についても、より詳細で正確な検討ができるものと考えられる。また月経に関連した患者群のうち、妊娠中は発作が消失した例、FMF の診断確定前に月経困難症や子宮内膜症として黄体ホルモン薬を投与されていた例が一定数認められた。これらホルモン治療がFMF 発作の抑制に寄与しているケースが散見されたことから、発作前後における生化学マーカーや女性ホルモンを中心とした各種ホルモン、炎症性サイトカインの動態を検討し、FMF の発作の機序を解明するとともに、コルヒチン不応例、不耐例における新規治療法を検討する。
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Causes of Carryover |
当初計画で見込んだよりも安価に研究が進んだため、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額は平成28年度請求額と合わせて消耗品費として使用する。遺伝子診断の件数は増え続けており、検査にかかる費用も年々増加している。
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Research Products
(3 results)