2015 Fiscal Year Research-status Report
日常生活下調査による摂食障害の食行動異常関連要因と背景基盤の解明
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26860488
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Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
菊地 裕絵 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 精神保健研究所 心身医学研究部, 室長 (10581788)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 摂食障害 / 食行動異常 / EMA |
Outline of Annual Research Achievements |
摂食障害は食行動異常を特徴とする疾患群で、行動面と心理面身体面が相互に関連する病態である。本研究は、携帯情報端末によるecological momentary assessmentや食事記録システムによる心理状態と食行動の評価に、認知機能評価・生物学的指標のモニタリングを併用し、日常生活下での生態学的妥当性の高いデータを用いることで摂食障害における食行動異常の関連要因や背景基盤を明らかにしようとするものである。 今年度は、予備調査と解析を行なった。本研究でアウトカムとする食行動異常の一つに過食や気晴らし食いが挙げられる。これらは情動制御の文脈で議論されることが多い。すなわち否定的感情が(それを改善するための方策として)過食や気晴らし食いの契機となり、さらに過食や気晴らし食いにより否定的感情が緩和されるというプロセスが食行動異常の背景に想定されている。しかしこれまでの実験環境下での研究では報告が一貫せず、また、個人の特性によってもプロセスが異なることが推定されている。そこで非摂食障害患者での予備調査データを用いて、これらの仮説を定量的に検討したところ、前者については食前の抑うつ気分と摂取エネルギー量にむしろ負の関連を認めたが、その関連には個人差が有意に存在し、それがストレス対処行動により説明され、気ばらし型対処を用いることの多い人では抑うつ気分が強いと摂取エネルギー量が多いという関係が示された。一方、摂取エネルギー量と食事前後の抑うつ気分の変化に定量的関連は示されず、食事摂取による否定的感情の緩和は支持されなかった。これにより従来議論になっていた点に生態学的妥当性が高くかつ栄養学的に正確な定量的評価に基づく根拠を提供することができた。また今後摂食障害患者の食行動異常にも適用可能な解析モデルが得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は予備調査を実施し食行動と心理状態に関する一定の見解が得られた。さらに今後実施する本調査の解析のモデルが得られるなど順調に進捗した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後本調査のプロトコル詳細を確定し、倫理委員会へ申請を行い、承認が得られ次第調査を実施する予定である。次年度使用予定の研究費については、当初より消耗品費や謝金として計上していたものを次年度の調査の際にに使用する。また研究打ち合わせ旅費については打ち合わせの時宜をよく検討し準備の上計画する予定である。
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Causes of Carryover |
本年度は予備調査の実施のほか解析を中心に行なったため、消耗品費などが不要となり、本調査用の謝金や消耗品費は未使用となったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用予定の研究費については、当初より消耗品費や謝金として計上していたものを次年度の調査の際にに使用する。また研究打ち合わせ旅費については打ち合わせの時宜をよく検討し準備の上計画する予定である。
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