2014 Fiscal Year Research-status Report
膵の発癌過程で異常高発現する反復配列RNAによる細胞恒常性破綻の分子機構の解明
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26860492
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岸川 孝弘 東京大学, 医学部附属病院, 特任臨床医 (00724171)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | DNAダメージ修復の解析 / 網羅的遺伝子解析 / トランスジェニックマウスの作成 |
Outline of Annual Research Achievements |
非コード反復配列RNAを強制発現する細胞において細胞分裂時の染色体分配異常、DNA損傷増加といった発癌に関わる表現型の変化を惹起するという知見をもとに、その生物学的機序として、酸化ストレスによる塩基損傷とその修復機序に着目した。ストレス刺激後の損傷塩基を経時的に解析したところ、反復配列RNA発現細胞において塩基修復の遅延を認めた。現在各遺伝子経路における各修復因子の発現について解析を行い、target因子の道程を試みている段階である。また、我々が反復配列RNAと結合することを見出したYBX1タンパク質はmRNAと結合して翻訳制御や分解抑制に関わるRNA結合タンパク質としても知られており、YBX1とmRNAの結合比が増減することで翻訳を正負両方向に調節する機能が報告されている。大量発現した反復配列RNAと結合しYBX1がtrapされることにより、正常な翻訳調節機構が阻害される可能性について検討するため、ビーズ抗体を用いてRNA免疫沈降(RNA-IP)したRNAを用いて、cDNA microarrayによる網羅的解析を行った。この結果、YBX1と結合する遺伝子には選択性があり、またストレス刺激によってその結合動態が変化することを見出した。in vivoの実験系としては、恒常的プロモーター下に反復配列RNAを発現するトランスジェニックマウスの作成に成功し、癌化に関与する表現型の変化について観察継続中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
DNA塩基損傷修復遅延に対する核内移行型YBX1を用いたレスキュー実験についてはさらなる検討が必要な状態であるが、YBX1の翻訳制御機能についての新たな知見が得られており、反復配列RNAがもたらす発癌に関わる表現型についての生物学的機序の解明において一定の進捗が得られていると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
ストレス後のDNA塩基損傷修復に関与する反復配列RNAのtargetを同定するために、修復因子の発現量、活性についてスクリーニングを行い、その生物学的機序についてレスキュー実験等を用いて検討を加える。また、作成したトランスジェニックマウスと、当研究室で飼育する前癌病変 (PanIN)を形成する膵特異的活性型Krasマウス(Ptf1a cre/+; LSL-Kras G12D/+)を交配させ、発癌促進に関与する可能性についても検討を加える。
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[Journal Article] Specific delivery of microRNA93 into HBV-replicating hepatocytes downregulates protein expression of liver cancer susceptible gene MICA2014
Author(s)
Ohno M, Otsuka M, Kishikawa T, Shibata C, Yoshikawa T, Takata A, Muroyama R, Kowatari N, Sato M, Kato N, Kuroda S, Koike K
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Journal Title
Oncotarget
Volume: 30
Pages: 5581-90
Peer Reviewed / Open Access
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