2014 Fiscal Year Research-status Report
ピロリ菌病原因子CagAによる限定的脱分化を介した胃発がん分子機構の解析
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26860495
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
藤井 裕美子 東京大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (30722334)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ヘリコバクター・ピロリ / 化生 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでの研究から、ピロリ菌病原因子CagA発現に依存的なbeta-cateninの細胞核移行の原因として、CagAが引き起こすタイトジャンクション破壊の関与が推察されていた。そこで、正常な細胞極性を形成する培養細胞株であるイヌ腎尿細管上皮由来MDCK細胞株を用いてレンチウイルスの共感染実験系の樹立を目指しているが、現在までのところ感染効率が低く結論には至っていない。一方、胃上皮細胞においてbeta-cateninを細胞膜近傍に留め置くE-cadherinの修飾がCagA発現に伴い変化している現象を見出した。現在、この現象とbeta-catenin細胞核移行の関与について解析中である。
タモキシフェン処理によりピロリ菌がんタンパク質CagAを誘導発現できるトランスジェニックマウス(CagA-Tgマウス)を用い、CagAを2か月誘導発現したマウス胃粘膜上皮を観察した。その結果、CagA発現が免疫組織染色により確認された胃体部周辺の上皮組織に化生性の変化が起きていることが明らかになった。この病変部はAlucian Blue染色陽性で、さらにTff2発現細胞が存在したことから、幽門腺化生(SPEM: spasmolytic polypeptide expressing metaplasia)であると判断した。マウス胃上皮では幽門腺化生から腸上皮化生への進展が報告されており、今後引き続きタモキシフェン処理後のCagA-Tgマウスの胃上皮を段階的に観察することで、ピロリ菌CagAに起因する多段階発がんの様子が解析できると期待している。現在、CagA依存的なCdx1異所性発現の有無、並びにCdx1による胃上皮細胞の限定的脱分化機構の解析を、CagA-Tgマウスの胃上皮組織を用いて進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請時に設定した平成26年度の研究計画2項目において、それぞれ当初の予定とは方策が少し変更になったが、本研究課題の最終目的達成に向けほぼ順調に進展し新たな知見が得られているため。
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Strategy for Future Research Activity |
CagAによるbeta-cateninの細胞核移行の分子機構解明を目指し、現在までに得られた新たな知見をもとにさらなる解析を行う。また、CagA発現依存的に幽門腺化生を引き起こすトランスジェニックマウスを用いてゲノム網羅的な解析を行い、本研究課題の最終目的達成を目指す。
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