2015 Fiscal Year Research-status Report
原発性胆汁性肝硬変症における転写因子Nrf2の機能解析と治療基盤の創出
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26860499
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
川田 一仁 浜松医科大学, 医学部附属病院, 助教 (90722968)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 原発性胆汁性肝硬変症 / Nrf2 |
Outline of Annual Research Achievements |
転写因子Nuclear factor- erythroid 2-related factor 2 (Nrf2)は抗酸化ストレス応答因子の発現を誘導する中心的な働きがある。近年Nrf2は抗酸化作用以外に炎症性サイトカインの発現にも関与することが報告され、自己免疫性疾患において重要な因子と考えられている。原発性胆汁性肝硬変症(PBC)は慢性に経過する微小胆管の破壊と抗ミトコンドリア抗体の発現が特徴的な自己免疫性肝疾患である。申請者達の施設ではPBCは酸化ストレス亢進状態であり、治療薬であるウルソデオキシコール酸が肝細胞と胆管細胞内のNrf2の発現を亢進させて抗酸化ストレス応答因子を誘導することで病態の進展を抑制する事を解明している。PBCが酸化ストレスのみならず、炎症性サイトカインの発現が関与する自己免疫性肝疾患であることより、本研究ではPBCにおけるNrf2の機能を解明することで新たな治療基盤を創出することが目的である。 PBCにおけるNrf2の役割を解明するために、平成26年度から継続して2OA-BSAを投与してPBCモデルマウスを作成する方法を使用して、Nrf2ノックアウトマウスとコントロールとしてC57BL/6マウスの2群でPBCモデルマウスを作成する実験を再度行い、胆管炎所見の比較検討を行いNrf2ノックアウトマウス群の方が胆管炎が悪化することを確認した。したがって、胆管細胞や肝細胞、または胆管周囲に遊走する単核球内のNrf2はPBCの病態進展に影響を及ぼすことが推測された。 次にNrf2がPBCの治療基盤に成りうるかどうかの検討として、C57BL/6マウスに2OA-BSAを投与してPBCモデルマウスを作成した後にNrf2活性剤Sulforaphaneを腹腔内に投与を行い、コントロール群との胆管炎所見の比較検討も行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記のごとく、昨年からNrf2ノックアウトマウスとコントロールのC57BL/6マウスの2群でPBCモデルマウスを作成する実験を再度行い、①Nrf2 KO+2OA-BSA、②C57BL/6+2OA-BSA、③Nrf2 KO、④C57BL/6の4群で胆管炎所見の比較検討を行った。当初2OA-BSAを0週と2週目に投与していたが全体に胆管炎所見が弱いため、2OA-BSA投与回数を0,2,4,6週目の4回に投与回数を増やしてPBCモデルを作成した。 また当初より平成27年度に行う予定であったC57BL/6マウスに2OA-BSAを投与してPBCモデルマウスを作成した後にNrf2誘導剤Sulforaphaneを腹腔内に投与を行い、コントロール群(DMSO投与)との胆管炎所見の比較検討も行っている。今後、各群ともに対象数を増やし再実験を行い、肝内の酸化ストレス応答因子や炎症性サイトカインの発現についての比較検討も行う予定である。 概ね当初の予定通り実験を遂行されていると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
現在進行しているPBCモデルマウスにNrf2活性剤Sulforaphaneを投与し、コントロール群との胆管炎所見の比較検討しNrf2のPBCに対する治療の有効性について検討する実験を引き続き継続していく。 また、当初行ったNrf2ノックアウトマウスとコントロールマウスの2群のPBCモデルマウスの肝組織を使用してELISAやWestern BlotやRT-PCRを行い酸化ストレス応答転写因子や炎症性サイトカインの発現を評価する。
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