2014 Fiscal Year Research-status Report
タンパク質架橋化酵素を標的とした肝線維化の病態機序の解明および制御法の開発
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26860500
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
辰川 英樹 名古屋大学, 創薬科学研究科, 助教 (10565253)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | トランスグルタミナーゼ / タンパク質架橋化酵素 / 肝線維化 / 線維化 / 肝硬変 |
Outline of Annual Research Achievements |
肝線維症の病態進展に伴うタンパク質架橋形成の存在と機構解明を目指し、肝線維化動物モデルを用いて、平成26年度は以下の2点の研究課題を遂行した。 (1)タンパク質架橋化酵素の各アイソザイムを区別して反応する基質ペプチドを用いて、胆管結紮処置による肝線維化の進展に伴う同酵素の活性上昇の程度や組織分布を解析した。線維化に伴いTGaseアイソザイムのうちTG1およびTG2において発現上昇が見られ、TG1活性は術後3日目から肝組織全体に広範囲に上昇するのに対し、TG2活性は術後3日目では血管周辺で強く見られ、その後線維化の進行に伴い肝組織全体で上昇が認められた。 (2)ビオチン標識した基質ペプチドを用いて、肝線維化の進展に伴い架橋形成に参画するタンパク質を網羅的に解析した。それぞれの線維化を誘導させた肝抽出液と基質ペプチドを反応させ、候補基質タンパク質に取り込まれたビオチン化ペプチドの量をWBにて解析した。その結果、線維化に伴い基質ペプチドを取り込んだタンパク質の量および数が増加することが分かり、それらの増加は線維化の進行と相関することが分かった。得られた候補基質タンパク質の中には新規に基質として考えられるタンパク質も認められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画で予定していた肝星細胞を用いた実験については未だ実験結果を得るまで至っていないが、組織レベルにおいては目標としていた実験を遂行し、結果を得ている。 また、基質探索に関しても病態進展における各タイムポイントにて架橋されるタンパク質の探索・同定をすませているため、現在までの達成度をこのように評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
肝星細胞を用いたin vitro での肝線維化モデルにおける解析を進めると共に、質量分析により同定したいくつかの候補基質タンパク質について機能解析を行い、疾患発症の原因解明に繋がるようなデータを取得する。また、TGおよび基質タンパク質の活性を制御するような薬剤探索を行い、肝線維化抑制のための有望な創薬シーズとしての検証を進める。
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Causes of Carryover |
平成26年度の交付決定額が申請時よりも少なかったため、実験予定を少し変更する必要があった。その過程で肝星細胞の初代培養に関する実験の実施が出来なかったが、なんとか所属研究室の予算をやり繰りしつつ、平成27年度に初代培養の実験を行う計画を考えているため、H26年度に使用する予定であった経費の一部をH27年度に使用するように変更した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
繰越した予算はおおよそすべて肝星細胞の初代培養の実験の実施のために使用する。
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