2014 Fiscal Year Research-status Report
制御性T細胞の強化による非アルコール性脂肪肝炎制御の実現とその免疫学的機構の解明
Project/Area Number |
26860502
|
Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
濱口 真英 京都府立医科大学, 医学部附属病院, 専攻医 (80350883)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 非アルコール性脂肪肝炎 / 制御性T細胞 / レプチン |
Outline of Annual Research Achievements |
肝硬変の基礎疾患であるばかりか心血管事故の危険因子ともなる重要な肝疾患である。しかし、現在のところNASHに対する有効な治療法は確立されていない。治療法が確立しない原因の一つにNASH発症の病態が解明されていないことがあり、NASHの病態解明が進まない原因としてヒトNASHに近似した動物モデルがないことが挙げられる。このため、我々はヒトNASHに近似したマウスモデルを確立し、NASH発症の新規的病態を解明し、その観点から新規的治療の可能性を検討することを本研究の目的とした。
我々はすでに単純性脂肪肝からら脂肪肝炎への進展を肝在住制御性T細胞が抑制しており、肝在住制御性T細胞が減弱すると脂肪肝炎が発症することが明らかとなり、これを論文にて報告した(Hepatology, on submittion)。本成果は第1回肝臓と糖尿病・代謝研究会【東京、2014年7月】にて発表、学術奨励賞を受賞した。肝在住制御性T細胞の免疫抑制機能が生理的条件下で減弱する原因として、高レプチン状態があることを発見、論文を投稿している。平成26年度研究計画は、この高レプチンNASH動物モデルにおいて、制御性T細胞の質的・量的強化し、NASHを制御することを観察することにあった。我々はすでにこの目標を達成し、制御性T細胞の強化が脂肪肝炎の重症度、特に炎症細胞浸潤と肝線維化を抑制することを明らかした。また、NASH発症に関する制御性T細胞の免疫抑制機能分子としてCD25によるIL2の吸収があることを明らかにした。これらを論文にまとめ、投稿している。
さらに、NASHでは制御性T細胞の減弱によりヘルパーT細胞が活性化、これにより、自己抗体が出現している可能性が見いだされた。この知見を基に申請者は抗PLCO抗体が非アルコール性脂肪肝炎の特異的診断マーカーとなることを検出し、特許を出願した(特願205-46367 脂肪肝疾患の患者の検査方法)。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成27年度研究計画は、1.制御性T細胞の免疫抑制性機能分子を強化し、NASHを制御すること、および、2.T細胞の活性化を抑制しうる低分子阻害薬を投与し、NASHを制御することであった。このうち、1に関してNASH発症に関する制御性T細胞の免疫抑制機能分子としてCD25によるIL2の吸収があることを明らかにした。
このため、当該研究は当初の計画以上に進展したと判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
高レプチン状態により肝在住制御性T細胞の免疫抑制力が減弱すると肝臓への炎症細胞浸潤、繊維化が進展することが明らかとなった。またこれは制御性T細胞の強化により改善・抑制が期待されることを示した。 上記成果を踏襲し、新規制御性T細胞の免疫抑制性機能分子強化法、低分子阻害薬によるT細胞活性化抑制法を検討する予定である。
|
Causes of Carryover |
本課題の中心をなす遺伝子改変マウスに微生物感染が認められたため、現在クリーンナップ処置をしている。次年度使用額917,689円はこのクリーンナップ費用に充当する予定である。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
917,689円を遺伝子改変マウスの微生物感染に対するクリーンナップ費用に充当する。
|