2015 Fiscal Year Research-status Report
マルチオミクス解析に基づく肝癌幹細胞を標的とした新規治療法開発
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26860505
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
坂部 友彦 鳥取大学, 医学部, 助教 (50639747)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 癌幹細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、肝臓組織内の癌幹細胞と幹細胞における違いを比較検討することで、肝癌幹細胞に特徴的な分子を明らかにし、肝癌幹細胞の幹細胞性維持機構や発生メカニズムの解明に基づいた新規腫瘍制御技術を開発することを目的としている。
これまでに、マウスにおける肝障害誘導法として0.1% DDC食の4週間投与が有用であり、DDC食投与マウスでは肝再生の指標とされる肝/体重比がコントロール食のマウスと比較して増加することが明かとなった。また、0.1% DDC食を5週間与えたマウス肝臓組織内には、EpCAM陽性肝幹細胞、CD44陽性肝幹細胞がそれぞれ0.1%ほど存在していることが、Flow cytometryによる解析によって明らかになった。 さらに、ヒト肝癌組織の癌部におけるEpCAM発現、CD44発現を免疫組織化学染色法によって検討し、患者予後との相関について解析した結果、EpCAM陽性の肝癌患者は、陰性患者と比較して予後不良な傾向にあること、CD44陽性患者は、陰性患者と比較して有意に予後不良であることが明かとなった。この結果から、CD44発現は肝幹細胞マーカーのみでなく、臨床病理学的にも重要な癌幹細胞マーカーであることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
マウス肝障害モデルとして0.1%DDC食を使用することで、肝障害及び肝幹細胞の誘導が可能であることを確認できたが、肝臓組織からの肝幹細胞、肝癌幹細胞回収に必要なコラゲナーゼ還流法の手技取得に時間を要した為、研究の実施に遅れが生じている。また、0.1%DDCを用いた肝障害マウスモデルにおけるEpCAM陽性、CD44陽性肝幹細胞の割合は、0.1%と極めて少なく、網羅的な解析に必要な細胞の回収に時間がかかっている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の予定として、使用するマウスの数を増加することで、マウス肝障害モデル、肝発癌モデルから肝幹細胞、肝癌幹細胞を効率良く回収し、遺伝子発現、代謝経路を比較し、癌幹細胞に特徴的な遺伝子発現、代謝経路を明らかにする。また、マウスでの解析と並行して、ヒト初代培養肝細胞やヒト肝癌細胞株を用いた分子生物学的、網羅的な解析も実施する。これらの解析をもとに、癌幹細胞における治療標的となる分子の探索も行う予定である。
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Causes of Carryover |
肝組織からの細胞回収の為のコラゲナーゼ還流法の技術習得に時間を要し、また当初の想定よりも回収できた細胞が少なかったために、網羅的な解析に必要な細胞数を十分に確保ができず、これらの解析が実施出来なかったために使用額が予定より下回った。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
これまで実施出来なかった肝癌幹細胞と肝幹細胞の網羅的比較解析に予算を当てると共に、培地などの細胞培養用試薬、RNA干渉等の分子生物学的実験に使用する消耗品を物品費として使用する。
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Research Products
(2 results)