2014 Fiscal Year Research-status Report
肝発癌進展過程におけるマイクロRNAと血管新生分子を標的とした診断・治療法の開発
Project/Area Number |
26860510
|
Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
野村 貴子 香川大学, 医学部附属病院, 助教 (70645415)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 血管新生分子 / マイクロRNA / 肝細胞癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は肝細胞癌での特異的miRNAと血管新生分子の同定、治療における標的分子としての可能性、診断及び治療の有効性のマーカー、予後判定としての有用性を明らかにすることである。 miRNAが搭載されたマイクロアレイを用いて、各種の肝細胞癌細胞株におけるmiRNAの発現を網羅的に解析し、発現プロファイルを作成後、クラスター解析をし、種々の肝細胞癌細胞株において特異的に発現増強・減弱するmiRNAを同定した。肝細胞癌において特異的に発現変化を起こしたマイクロmiRNAに関してその染色体の位置を調べ、そのmiRNAが癌と関連したLOH、欠失、増幅が観察されていた染色体上に位置しているかどうかを最新のゲノム情報を用い解析し、新規の標的遺伝子の予測を試みた。 また、既に我々はヒト正常肝、慢性肝炎、肝硬変症、肝細胞癌の癌部と非癌部、加えて肝細胞癌細胞株について、血管新生に関連するサイトカインの搭載されたプロテインアレイを用いた解析を行い、肝硬変症から肝細胞癌へと進展する段階でIL-8とbFGFが重要な役割を担っていることを指摘できた。また、肝細胞癌症例において、癌部と非癌部のmiRNAのプロファイリングは明確に異なることが判明しており、肝細胞癌に特異的なmiRNAとIL-8およびbFGFとの関連性についての検討を行った。 発現プロファイルの解析は、計算解析サーバを使用し、従来の統計学的方法のみならずマイクロアレイに適した統計的手法を用いた。また、クラスター解析には、階層的クラスタリングに加え、非階層的クラスタリング手法を利用した。IL-8を発現する肝細胞癌のパターンとbFGFを発現する肝細胞癌のパターンの各々においてもそれぞれ独立したクラスターを形成するかどうかを確認した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
肝細胞癌細胞株については各種の肝細胞癌細胞株におけるmiRNAの発現を網羅的に解析し、発現プロファイルを作成後、クラスター解析をし、種々の肝細胞癌細胞株において特異的に発現増強・減弱するmiRNAを同定できた。
|
Strategy for Future Research Activity |
収集された肝細胞癌組織や肝細胞癌患者の末梢血液は実験で使用するまで、高品質なRNAを抽出するため、RNAの安定化溶液に浸し、その後超低温フリーザで保存する。肝細胞癌細胞株と同様の方策でmiRNAの発現を網羅的に解析し、発現プロファイルを作成後、クラスター解析をし、それぞれの肝細胞癌組織や肝細胞癌患者の末梢血液において特異的に発現増強・減弱するmiRNAを同定する。
|
Causes of Carryover |
本年度使用したmiRNAを搭載したアレイやクラスター解析を行うための解析ソフトウェアは既存のものを使用しており、大幅な追加購入の必要がなかったため、予定使用額より少なく実験が遂行でき、次年度使用額が生じたと考えられる。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
今後使用する予定である肝細胞癌患者の末梢血液や収集された肝細胞癌組織についてはmiRNAを搭載したアレイの追加購入が必要となるため使用する予定である。また、ヌードマウスを用いたIL-8発現肝細胞癌モデルとbFGF発現肝細胞癌モデルを作成し、肝細胞癌を抑制すると予想されるmiRNAあるいはanti-miRNA を投与することにより、肝細胞癌の縮小もしくは休眠に効果のある分子標的治療薬となりうる可能性について検討する。
|