2014 Fiscal Year Research-status Report
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26860512
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
後藤 和人 九州大学, 大学病院, 助教 (50711214)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 肝臓 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はこのミトコンドリアの翻訳を制御するp32を対象に、発生工学・実験病理学・メタボロミクスを融合したアプローチにより、p32の機能と肝臓疾患の関係を包括的に解析することを目的としている。 このため、独自に作成したp32欠損マウスは胎生致死であるため、loxP-creシステムを用いて①肝臓における各種細胞(肝細胞、クッパー細胞、樹状細胞、血管内皮細胞)のコンディショナルノックアウトマウスを作成して、それぞれの細胞の役割を明確にする。②それぞれの改変マウスの個体レベルでの肝臓病におけるphenotypeを明らかにする。③最終的にマウスのサンプルを用いてメタボローム解析などいわゆる網羅的解析を行い、その分子メカニズムを明らかにする。以上の方法にて、p32遺伝子欠損の影響を明らかにして、その異常がメタボローム(代謝産物)などをどのように変化させるかを解析する。期間内に可能であれば、変化のあるメタボロームなどが新規の肝臓病のマーカーとして、ヒトで応用できるか検討する。 Alb-Cre マウス、LysM-Creマウス、Tie2-Cre マウスを用いて、p32欠損マウス(lox/lox)と交配し、実験に使える状態にした。肝臓特異的p32欠損マウスを樹立して、ミトコンドリアの機能解析を行った。ミトコンドリアの機能解析を行ったところ、軽度のミトコンドリア機能不全を認めたものの、胎生致死の状態ではなかった。他のマウスに関しては、特異的な特徴を見いだしたため、更なる解析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
解析する予定のマウスの作製、解析のための準備、人員の配備、資金面の獲得などおおむね良好である。
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Strategy for Future Research Activity |
得られたメタボローム解析の結果と肝臓の病理・分子生物学的意義の解明 比較対象として、p32コンディショナルマウスを用いているため、いわゆるミトコンドリアの翻訳障害が肝臓病のおよぼす影響を解析することとなる。メタボローム解析より得られたデーターを解析して、有意差を認める代謝産物について詳細に解析を進めていく。①有意差を認める代謝産物と代謝産物の間の律速酵素の酵素活性を解析する。②それぞれの疾患モデルにおいてp32欠損の影響を明らかにする。③肝臓の病理学的診断と上記のメタボローム解析の結果が合致するものか精査する。 臨床検査への応用(検査診断システムの構築) 本研究の最終目標はNAFLD、NASHといった肝臓疾患の臨床検査法の開発も一つの目標としているため、野生型マウスで得られた知見も新規臨床検査法の対象となる。マウスとヒトの代謝産物はほぼ同一であり検査法も同一であるため、産物により早期に臨床応用できる可能もある。
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Causes of Carryover |
予定していたマウスの体外受精を翌年度に移動したため
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
マウスの体外受精などにて使用予定
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