2014 Fiscal Year Research-status Report
肝線維化に伴うmicroRNA発現変化を介した肝癌幹細胞維持メカニズムの解明
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26860513
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
三馬 聡 長崎大学, 病院(医学系), 助教 (30437892)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 肝癌幹細胞 / sphere形成 / microRNA122 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、肝癌幹細胞においてmiR-122発現が低下すること、そしてこのmiR-122発現低下が、肝癌幹細胞stemnessに対し、促進的に働くことを明らかにすることを目的としている。平成26年度においては、生体組織肝癌幹細胞のmiR-122発現量の解析(検討1)、肝癌幹細胞miR-122発現低下が肝癌幹細胞stemnessに与える影響の解析(検討2)について解析予定であった。
(検討1)臨床検体により解析予定であるが、適切な表面マーカーを解析し行う方針に変更した。下記検討の後、順次解析を行っていく。
(検討2)当初、肝癌細胞株(Huh7, Hep3B)のCD133(+)EpCAM(+)細胞をFACS sortingを行い、肝癌幹細胞として解析を行う予定であった。しかしFACSによる解析ではHuh7細胞では約80%、Hep3B細胞では90%がCD133(+)EpCAM(+)細胞であった。培養細胞中の肝癌幹細胞としてあまりに多くの割合を占めており、同細胞を、肝癌幹細胞の集団とし抽出、解析することは不適切である。他の表面マーカー(CD13、CD44、CD90)を用いても同様であった。そこで細胞表面マーカーではなく、sphere形成能によりその肝癌幹細胞集団の抽出を試みた。ultra low attachment dish、stem cell専用培地を用い、sphere形成能を有する細胞を抽出したところ、これにより得られる細胞では、stem cell発現遺伝子NANOGがparental cellsと比較し数千倍の高い発現量が認められた。sphere形成能を用いた方が肝癌幹細胞抽出するに妥当であり、肝癌幹細胞抽出の方法を同手法に改変した。今後は、この方法を用い肝癌幹細胞を抽出し、miR-122の発現変化が肝癌幹細胞stemenessに与える影響について、解析を行っていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
(理由)細胞表面マーカーによる肝癌幹細胞を抽出する予定であったが、これによる抽出は困難であったことが③の理由である。しかし、sphere形成能により、肝癌幹細胞を抽出することが可能であることが明らかとなってきた。今後はsphere形成能により肝癌幹細胞を抽出し、miR-122発現がstemnessに与える影響について解析ができると思われる。 一方で臨床検体による解析は、適切な肝癌幹細胞の抽出法を確立した後に行う予定であり、現時点では解析されていない。今後症例数の蓄積も必要である。
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Strategy for Future Research Activity |
Sphere形成能により肝癌幹細胞が同定できることが明らかとなってきた。miR-122の発現がstemnessに与える影響とともに、遺伝子発現パターンをアレイにより解析し、詳細に検討することができると思われる。
今後臨床検体における解析で、どの細胞集団を肝癌幹細胞として捉えるかは問題点である。今後得られる結果により、臨床検体中の肝癌幹細胞同定法について検討する。
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