2015 Fiscal Year Annual Research Report
大腸de novo癌に関わる遺伝子異常および発癌分子機序の解明
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26860518
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
酒井 英嗣 横浜市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 客員研究員 (30600233)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 大腸発癌 / 遺伝子変異 |
Outline of Annual Research Achievements |
大腸癌は様々な遺伝子異常の集積を伴って、発生・進展していく。Adenoma-carcinoma sequenceは最もよく知られた発癌経路であり、隆起型腺腫の多くはこの経路を経由して大腸癌へと進展していくと考えられる。De novo癌は日本から発信された概念であり、平坦な形態・腺腫成分の欠如・早期からの深部浸潤を特徴とし、早期発見が困難で、大腸癌死亡率の増加に寄与する一因となる。これまでde novo癌に関して詳細に遺伝子異常を解析した報告は少なく、その発癌分子機構は明らかとなっていない。本研究では多数のde novo癌症例を集積し、最新のシークエンサーを用いたメチル化異常・エクソーム解析を用いた遺伝子変異・mRNAを用いた下流遺伝子の発現を解析することで、その発生・進展に関わる分子機序を明らかにした。 対象となるDe novo癌(論文ではLST-NGに相当)を目的数集積し,メチル化解析を行った.比較としたLST-GはAdenoma-carcinoma sequenceに深く関わる中メチル化群であったが,LST-NGは低メチル化群に分類された.また,腺腫例と早期癌例でもメチル化率に有意差は認めなかった.エクソーム解析を用いた解析ではLST-GでKRAS変異を含め,RTK/RAS経路に関わる遺伝子の変異が有意に多かった.LST-G,LST-NGともに,APC変異をほぼい全例で認め,腺腫と癌に関わらず変異していたことから,平坦腫瘍における腺腫形成の段階で重要な働きをする遺伝子と考えられた.一方TP53)変異はLST-NGの癌(De novo癌)で特徴的にみられ,特に早期から変異していた.そのことから,TP53はDe novo癌での癌化に関わる重要な遺伝子出ると考えられた.残念ながら,機関内にはRNAを用いた下流の遺伝子発現までは調査できなかったが,今後の課題として継続していく予定である.
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