2015 Fiscal Year Research-status Report
がん幹細胞を標的とした糖鎖連結クロリンによる新規光線力学的療法のメカニズムの解明
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26860520
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
田中 守 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (80617861)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | PDT / がん幹細胞 / HIF1α / p53 / c-Myc |
Outline of Annual Research Achievements |
光線力学的療法 (Photodynamic Therapy,PDT) は,光感受性物質が選択的に集積した腫瘍組織にレーザー光を照射し腫瘍細胞を選択的に破壊する治療法である.糖鎖連結クロリンは,がん細胞が糖を取り込む性質を利用した光感受性物質である. 近年,がん細胞がミトコンドリアを不活性化して細胞死を防ぐことが明らかになるなど,がん細胞がWarbrug効果を介してアポトーシスを回避することと,がん幹細胞が存在するメカニズムの関連が注目されている.従来の抗がん剤,放射線,分子標的薬剤などに対して抵抗性を持つ,がん幹細胞を根絶することが治癒を意味し,また,残存がん幹細胞の再活性化が再発,がん幹細胞の移動と局所への生着が転移を意味する.がん幹細胞こそが腫瘍の源であり,治療の標的となる.しかし,がん幹細胞を標的とした新規治療法は現在確立されたものはない.我々は,すでに糖鎖連結クロリンによるPDTの効果がシスプラチン耐性胃がん細胞株において親株よりも高いことを確認した.この結果から糖鎖連結クロリンによるPDTが抗がん剤耐性をもち糖代謝が亢進しているがん幹細胞を標的とすること,その過程においてとGLUT1,p-53,c-Myc,HIF1αが重要な役割を果たしていることが予想される.本研究では,糖鎖連結クロリンを用いた新規光線力学的療法の抗腫瘍効果の基礎的解析をがん幹細胞を標的とした効果を中心に解明し,最終的には臨床の場での応用を目指す.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
糖代謝が亢進しているがん幹細胞に対して,糖鎖連結クロリンの殺細胞のメカニズムにつき詳細に検討した.すなわち糖鎖連結クロリンのがん幹細胞内に取り込まれてからの細胞内局在,活性酸素,さらにアポトーシス,オートファジー誘導能につき臨床にて使用されているレザフィリンと比較検討し平成26年度思考予定であった実験はほぼ予定通り終了した.その結果の一部は第11回消化管学会にて発表した.
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Strategy for Future Research Activity |
今後,p53等のknockdownした細胞を作成し,その糖代謝,糖鎖連結クロリンの効果の変化を検討する.
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Causes of Carryover |
p53等のknockdownした細胞の作成に困難をともなったため,その糖代謝,糖鎖連結クロリンの効果の変化を検討できず未使用額が生じた.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今後はp53等のknockdownした細胞を作成し,その糖代謝,糖鎖連結クロリンの効果の変化を検討することとし,未使用額はその経費に充てることにしたい.
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