2014 Fiscal Year Research-status Report
SLCO2A1遺伝子変異による小腸潰瘍症のメカニズム追究
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26860524
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
島村 克好 慶應義塾大学, 医学部, 特任助教 (00573528)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 非特異性多発性小腸潰瘍症 / SLCO2A1 |
Outline of Annual Research Achievements |
1. 正常および変異型SLCO2A1強制発現細胞株の樹立 SLCO2A1遺伝子の完全長cDNAクローンNM_005630.1を哺乳類細胞発現ベクターpCMV6-ACにサブクローニングした.完成した正常型の発現ベクターに対して各変異型になるよう設計したプライマーによるinverse PCRを行うことで患者に認められる全ての変異型の発現ベクターを作製した.Human embryonickidney 293 (HEK293)培養細胞に遺伝子導入試薬を用いてこれらベクターをトランスフェクションし、48時間培養後実験に供した. 2. 強制発現株を用いた正常および変異型SLCO2A1のPGE輸送機能の解析 正常および変異型SLCO2A1遺伝子を発現させたHEK細胞に,3H標識されたPGEを取り込ませ,一定時間培養後に細胞を溶解して液体シンチレータと混合,液体シンチレーションカウンター(パーキンエルマー Tri-Carb3100)で放射線をカウントすることでPGEの輸送能を測定した.正常型SLCO2A1遺伝子を発現させたHEK細胞と比較して、変異型SLCO2A1遺伝子を発現させたHEK細胞では著しくPGEの輸送能が低かった. 3. Cre-loxpシステムを用いた血管内皮特異的SLCO2A1欠損マウスの作製 Knockout Mouse Project (KOMP) RepositoryよりKOMP-CSD ID: 79483を入手し,loxP系統を得た.これをVE-Cadherin-Cre系統と交配中である.平成27年度内に血管内皮特異的SLCO2A1欠損マウス系統の樹立を予定している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画当初に想定していたSLCO2A1遺伝子の変異のほかに多種の変異の関与がゲノム解析によって明らかとなったが、これら変異がすべて同様の機能障害を引き起こすことを確認した.また、病変部における免疫染色を行った結果、SLCO2A1タンパク質が血管内皮に局在していることからコンディショナルKOマウスの特異組織を腸管上皮から血管内皮細胞に変更した.これらの変更点はあるが、予定していた計画に大きな遅延は無く、おおむね順調に進展していると評価する。
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Strategy for Future Research Activity |
非特異性多発性小腸潰瘍症の患者におけるSLCO2A1遺伝子変異の多様性が確認され、これらの変異がSLCO2A1タンパクの機能を同様に傷害していることを確認している。また腸管血管内皮細胞においてSLCO2A1遺伝子が高発現していることが明らかとなり、コンディショナルKOマウスの特異部位を血管内皮に変更した。今後、非特異性多発性小腸潰瘍発症メカニズムにSLCO2A1タンパクの機能異常がどのように影響するのかを解明するためにはPGEの組織内濃度の測定を行う必要があると考えられる。
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