2015 Fiscal Year Annual Research Report
膵臓癌におけるCD44 isoformの発現解析と可塑性制御因子の探索
Project/Area Number |
26860526
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
新部 彩乃 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (20445448)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 上皮間葉転換 / 可塑性 |
Outline of Annual Research Achievements |
癌幹細胞は正常の幹細胞と異なり、可塑性を有し周囲の環境変化に応じてそのphenotypeをフレキシブルに変化させることが可能であるとされている。CD44 variant isoform(以下CD44v)陽性細胞が癌幹細胞様の性格を持ち、腫瘍進展の中心となりうる事が近年の研究により明らかになってきているが、膵臓癌における報告はまだ乏しい。 本研究課題では膵臓癌におけるCD44variant isoform陽性細胞の生物学的特徴を明らかにするとともに、可塑性を制御する因子の探索を目的とし検討を進めてきた。 前年度までの組織及び細胞学的検討により、膵臓癌細胞株中のCD44vの発現が上皮間葉転換(Epithelial to Mesenchymal Transition:EMT)を起こすことにより低下することが示唆されていたが、更にその現象が可逆的であるかどうかについても検討を行った。その結果、一旦TGF-beta処理によって低下したE-caderin発現は、TGF-betaを除去することにより間葉上皮転換(Mesenchymal to Epithelial Transition:MET)を起こし回復していた。以上のことよりこのCD44v陽性細胞はEMT/MET可塑性を持つことが示唆された。 また、これまでの研究によりCD44vはCystine transporterであるxCTの安定化に寄与することが示されている。従ってxCT阻害剤sulfasarazineの膵癌細胞への影響をin vivo およびin vitroの両方において検討した。その結果、CD44vを発現している細胞はsulfasaraziineに対して感受性を示した一方で、CD44v陰性細胞における感受性は軽度であったことより、他の組織と同様、膵臓癌においてもまたCD44vがその腫瘍進展・維持に寄与している可能性が示唆された。
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