2014 Fiscal Year Research-status Report
ヒトiPS細胞由来肝・前駆細胞の増殖分化の分子メカニズム
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26860529
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
鶴谷 康太 東海大学, 医学部附属病院, 臨床助手 (00725377)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | iPS細胞 / 肝前駆細胞 / 細胞表面分子 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでにヒトiPS細胞より分化誘導したCD13(aminopeptidase N)とCD133(Prominin 1)両陽性分画に、高増殖性で肝細胞・胆管系細胞への2方向分化能をもつ肝前駆細胞が濃縮されていることが明らかになっている。ヒトiPS細胞由来CD13+CD133+細胞の細胞表面分子に注目し、網羅的な細胞表面分子の探索を行い、ヒトiPS細胞由来肝前駆細胞の性状解析と増殖機構の解明を目的とした。ヒトiPS細胞を、液性因子の連続添加(Activin A、FGF、BMPおよびHGF)によって肝臓系細胞へと誘導した後に、CD13、CD133に対する抗体と、様々な細胞表面分子に対する抗体をそれぞれ共染色し、フローサイトメトリーを用いて網羅的に解析を行った。ヒトiPS細胞由来CD13+CD133+分画における細胞表面分子の網羅的発現解析では様々な分子が不均一な発現をしていることが分かった。また、CD13+CD133+分画において、強く発現する20種の細胞表面分子の中で、長期継代培養過程においてCD221(insulin like growth factor-1 receptor; IGF-1R)とCD325(N-cadherin)の発現が低下することを見出した。IGF-1Rに対する、ブロッキング抗体や特異的阻害剤を用いると、CD13+CD133+細胞の増殖能の低下がみられ、IGF-1Rシグナルを介する増殖シグナルがヒトiPS細胞由来肝前駆細胞の増殖に関与していると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
網羅的な細胞表面分子に対する実験は予定通り進んでいる。 また、増殖に関与すると考えられる受容体に対する増殖シグナルの検討についても予定通り進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
増殖に関与すると考えられるさらなる細胞表面分子に対する検討を行う。受容体に対するリガンドや特異的阻害剤・ブロッキング抗体を添加し、コロニー形成アッセイを行い増殖性の評価を考えている。
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Causes of Carryover |
物品費について予定金額を下回った。今後も必要な物品について購入していく。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
申請通り、ヒトiPS細胞由来の分化誘導・培養系を用いて、肝幹・前駆細胞の増殖・分化の分子メカニズム解析を行う。そのための研究経費として、ヒトiPS細胞の維持・分化培養に必要な消耗品、サイトカイン等を想定している。また、研究成果の発表の為の、論文校正、旅費の支出を計画している。
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Research Products
(3 results)