2014 Fiscal Year Research-status Report
炎症性マクロファージにおける機能的lncRNAの同定と機能解析
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26860544
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中山 幸輝 東京大学, 医学部附属病院, 特任臨床医 (70721885)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | マクロファージ / 慢性炎症 / ノンコーディングRNA |
Outline of Annual Research Achievements |
生活習慣病の共通した基盤病態としての慢性炎症では、マクロファージがダイナミックにその機能を変動させ多様な役割を果たす。しかしながら、このようなマクロファージのダイナミズムを制御する分子機序は充分には分かっていない。近年、蛋白をコードしない長鎖ノンコーディングRNA(lncRNA)が細胞機能を制御することが分かってきた。そこで、本研究ではlncRNAが環境に応じたマクロファージのフェノタイプ決定やサイトカイン発現を制御すると仮定し検討を進めた。 マウスの初代培養マクロファージを用いて、さまざまな時相の炎症性マクロファージのRNAやエピゲノム情報を、次世代シーケンサーを用いて網羅的発現解析を行った。これらのデータベースをもとに多数のlncRNAの発現領域を同定した。これらの内には細胞特異的な発現を示すものが多く含まれ、新規のものも見つかった。その中で、発現がダイナミックに変化するものや、疾患モデルマウスの炎症性マクロファージで発現が見られるものに注目した。まずはsiRNAによる発現抑制をすることで炎症性サイトカインの発現が変化するかを解析して、その機能性を評価することとした。いくつかの遺伝子については、炎症性サイトカイン制御に関与する可能性があると考えられ、内二つについてノックアウトマウスを作製した。ノックアウトマウスを用いていくつかの疾患モデルを作成し、新規lncRNAの機能性を評価する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
対象のlncRNAについて発現抑制や過剰発現を行うことによって炎症性サイトカインの発現が大きく変わることが示された。これによってこのlncRNAが炎症メカニズムを抑制的に制御する働きを持つことが示された。CRISPR/Cas9システムを用いてlncRNAのプロモーター配列に変異を入れたノックアウトマウスを作製した。このマウスの骨髄由来マクロファージを用いて新規lncRNAがノックアウトされていることを確認した。野生型マウスから採取した骨髄マクロファージとの比較により、siRNAで発現抑制することによって得られた炎症性サイトカインの発現変化が再現された。炎症性マクロファージの機能評価をする系としてエンドトキシンショックモデルを用いて、ノックアウトマウスで炎症性表現型が増悪していることを示した。 続いて新規lncRNAが直接炎症性サイトカインの発現制御をおこなっているのか、分子機序の解明に取り組んだ。in vitro transcriptionによって発現した新規lncRNAを細胞抽出液と共免疫沈降することにより結合タンパクを同定し、炎症性マクロファージにおいてその結合タンパクがどのような機能を示すのか検討している。
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Strategy for Future Research Activity |
新規lncRNAが炎症性サイトカインの発現制御を行う分子機序についての解明を図る。共免疫沈降によって同定した結合タンパク質が、実際に生化学的に結合するのかをin vitroの実験系で評価していく。さらに、新規lncRNAの発現量による結合タンパクの酵素活性を評価する。 まずは細胞内代謝に関わるこの結合タンパクが炎症性サイトカインの発現制御に関与することを示すため、阻害薬やsiRNAを用いて発現抑制した際の発現変化を解析する。これに加えてlncRNA を添加した場合の細胞内代謝の変化を観察するとともに発現変化を解析する。
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Research Products
(3 results)