2015 Fiscal Year Annual Research Report
炎症性マクロファージにおける機能的lncRNAの同定と機能解析
Project/Area Number |
26860544
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中山 幸輝 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (70721885)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | マクロファージ / 慢性炎症 / ノンコーディングRNA |
Outline of Annual Research Achievements |
生活習慣病の共通した基盤病態としての慢性炎症においてマクロファージはダイナミックにその機能を変動させ多様な役割を果たす。このようなマクロファージのダイナミズムを制御する分子機序として長鎖ノンコーディングRNA(lncRNA)の機能性を解析した。 マウスの初代培養マクロファージを網羅的発現解析することで得られた多数のlncRNAには細胞特異的な発現を示す新規の遺伝子も見つかった。その中でlncFAOと名付けたlncRNAは、炎症刺激で発現がダイナミックに変化し、siRNAによる発現抑制をすることでIL1やIL6などの炎症性サイトカインの発現が増加した。一方で過剰発現により炎症性サイトカインが抑制され、lncFAOが炎症性サイトカインに抑制的な制御を行うことが示された。そこで、CRISPR/Cas9システムを用いてlncFAOのノックアウトマウスを作製した。炎症性マクロファージの機能評価をする系としてエンドトキシンショックモデルを用いて、生存曲線や血中のサイトカイン発現の点においてノックアウトマウスで炎症性表現型が増悪していることを示した。 続いてlncFAOが直接炎症性サイトカインの発現制御をおこなっているのか、分子機序の解明に取り組んだ。in vitro transcriptionによって発現した新規lncRNAを細胞抽出液と共免疫沈降して質量分析法によって結合タンパクを解析した。すると、脂肪酸代謝で重要な役割を担うHadhbと結合することが分かった。lncFAOがHadhbと結合することでそのthiolase活性を修飾し、炎症後期の脂肪酸代謝を促進する役割を担っていた。これによりlncRNAがマクロファージの炎症機転において細胞代謝のダイナミズムに関与して炎症性サイトカイン発現を制御するという新しい機序を示すことが出来た。
|
Research Products
(6 results)