2016 Fiscal Year Annual Research Report
高血圧患者における不眠症の診断および治療意義の検討
Project/Area Number |
26860545
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中尾 倫子 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (30597216)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 不眠症 / 運動習慣 / 血管内皮機能 / 高血圧 / 腎機能 / 血糖値 / 尿中メラトニン代謝産物 |
Outline of Annual Research Achievements |
不眠症は高血圧などの動脈硬化危険因子および虚血性心疾患の新規発症と関連があることが報告されている。不眠症と動脈硬化進展とを関連させる候補因子として、自身の基礎検討で劇的な効果が観察できたメラトニンを考えた。本研究の目的は、不眠症と心機能および血管機能との関連を調べることで、高血圧を始めとする循環器疾患患者の日常診療における、不眠症の診断および治療の意義を検討することを目的とする。平成28年度は、虚血性心疾患の薬物治療下にある患者(95名)を対象とし、睡眠状態、血管機能、尿中メラトニン代謝産物測定を測定し、それぞれの因子の関連を横断的に評価した。睡眠状態はピッツバーグ睡眠質問票日本語版(PSQI-J)で、血管内皮機能はエンドパット2000(イタマー・メディカル・ジャパン株式会社)で測定した反応性充血指数(RHI)で評価した。夜間血中メラトニン濃度は、起床時の尿中メラトニン代謝産物濃度により評価した。また、血管壁の酸化ストレスマーカーである8-isoprostane、血圧、心拍、BMIを測定した。血糖、eGFR値などの血液検査データはカルテから収集した。PSQI-J6点以上の不眠症あり群となし群の2群間で各パラメータを比較したが、有意な差は認めなかった。そこで、運動習慣も同時に聴取できた86名について、さらに解析を加えた。1日30分以上の歩行と同等の運動習慣が有る群と、無い群の2群間で上記パラメータを比較した。運動習慣有群は、無群と比較して、血圧およびHbA1cが有意に低く、eGFRが有意に高かった。RHI、PSQI-Jおよび尿中メラトニン代謝産物濃度は両群間で有意差はなかった。以上より、薬物治療中の虚血性心疾患患者では、睡眠状態と血管機能との間には明らかな関連は認められなかったが、運動習慣の有無が血圧、血糖、腎機能に影響を与えている可能性が示唆された。
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