2015 Fiscal Year Research-status Report
動脈硬化進展における血管内皮カルシウムセンサーSTIM1の役割の解明
| Project/Area Number |
26860547
|
|---|
| Research Institution | The University of Tokyo |
|---|
Principal Investigator |
西本 光宏 東京大学, 先端科学技術研究センター, 研究員 (90646572)
|
|---|
| Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
| Keywords | カルシウムシグナル / 血管内皮 / 血圧 |
|---|
| Outline of Annual Research Achievements |
内皮特異的STIM1欠損マウスを用いて血管内皮機能、血圧に関して検討を行った。血管内皮特異的欠損マウスを作成するため、Tie2 promoter下にCre recombinaseを発現しているマウスをFloxマウスと交配して用いているが、交配にCre陽性のメスマウスを用いると、産仔が高率に全身のヘテロ欠損マウスの表現型をとることが判明した。これらのマウスは除外して実験を継続した。<生体レベルでの検討>内皮特異的STIM1欠損マウスに対してtelemetry法を用いた血圧測定を行った。個体数が限定的であるが10~13週令マウスにおいてKOマウスでは血圧上昇を認めた。<大動脈リング標本による検討>摘出大動脈を用いて収縮能、拡張機能について検討を継続した。KOマウスではKClによる最大収縮反応、さらにフェニレフリンによる収縮についても増強が認められた。<単離大動脈内皮細胞による検討>単離大動脈内皮細胞を用いて検討を行った。蛍光NO産生指示薬であるDAF-2DAを用いてcalcium add-back方によるNO産生を評価した。予備検討として初代培養ウシ大動脈内皮細胞を用いてcalcium add-back法により、細胞内ストアからのCa放出、およびcalcium add-backによるNO産生を検出することができた。次にRNAiによるknock downの影響を検討した。しかし、scramble siRNAの導入措置により培養細胞でのNO産生能は著しく傷害され、前記のcalcium add-back法を行っても細胞内Calcium濃度変化によるNO産生を検出することができなかった。NO産生の検討を蛍光 NO 指示細胞 PICcell (Sato ら Anal Chem (2006))を用いることで予備検討し、siRNA導入措置を行った細胞でもNO産生を検出できることを確認した。
|
| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
血管機能への女性ホルモンの作用を排除するためすべての実験にオスマウスを用いているため、繁殖と実験とのバランスを調整しながら実験を進めている。telemetry法による血圧測定、リング標本の検討、単離培養系といずれもマウスをそれぞれ1個体必要とするため必要個体数が多くなっている。内皮特異的STIM1欠損マウスの交配において産仔を増やすためTie2Cre陽性メスマウスを試験的に交配に用いたが、上記のように効率に全身ヘテロ欠損マウスを得る結果となり、個体数を増やすことができなかった。ウシ大動脈血管内皮細胞やC57/B6マウス由来のリング標本、培養血管内皮細胞を用いて血管障害刺激による変化の検討をすすめる。
|
| Strategy for Future Research Activity |
内皮特異的STIM1欠損マウスの解析を継続する。現在進行中の通常飼育条件下での検討、特にテレメトリ法による血圧測定をすすめる。また単離培養細胞についてNO産生の検討を蛍光 NO 指示細胞 PICcellを用い、共焦点レーザー顕微鏡によってストア依存性カルシウム流入刺激後の蛍光上昇を測定する方法で行う。障害刺激下での検討をすすめる。生体レベルでは高食塩食負荷、加齢による血管内皮機能への影響を検討する。また正常動物における血管内皮細胞でのSTIM1制御を検討するため、高血圧自然発症ラット、ApoE 欠損マウス、db/db マウスに高食塩食、高脂肪食負荷を加えて血管内皮でのSTIM1発現およびストア依存性カルシウム流入制御の変化を検討する。さらに現在内皮特異的STIM1欠損マウスとApoE欠損マウスとの交配を開始している。このマウスを用いて動脈硬化性刺激に対する影響を生体レベルでも検討する。細胞レベルでも炎症性障害刺激に対して正常細胞においてSTIM1の変化を検討する。
|
| Causes of Carryover |
学会発表が1回のみで予定より旅費の使用が少なかった。
|
| Expenditure Plan for Carryover Budget |
増大する動物飼育費に組み込んで使用する。
|
