2015 Fiscal Year Annual Research Report
心不全に対する腎交感神経への治療的介入が中枢性交感神経性調節へ与える影響
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26860568
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
西原 正章 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 共同研究員 (70641017)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 高血圧 / 慢性腎臓病 / 腎除神経 / 中枢性循環調節 / 交感神経活動 |
Outline of Annual Research Achievements |
①慢性腎臓病 (Chronic kidney disease; CKD) は高率に高血圧を合併し、治療抵抗性であり心血管イベント合併リスクが高い。病態に交感神経活動亢進が強く関与しており、腎交感神経除神経術 (Renal nerve denervation; RDN) が治療方法となり得るかどうかを検証。 まず5/6腎摘出術をICRマウスに施行しCKDモデルを作成した。結果、交感神経活動亢進(尿中ノルエピネフリン)を伴う高血圧の病態を呈した。また、左室肥大やアルブミン尿を認め、CKDの病態を呈していた。 CKD病態完成後にRDNを施行した結果、Sham群と比較し有意な降圧反応を認め、その遠隔期に交感神経活動が抑制されていた。比較的早期の降圧作用の機序として尿中ナトリウム排泄促進作用の関与が観察された。長期的降圧効果の結果、左室肥大やアルブミン尿が抑制された。 RDNが交感神経活動抑制をきたす機序として、脳内血管運動中枢である視床下部室傍核に注目した。麻酔下に薬剤微量投与実験を行った結果、CKDモデルで減弱していた同部位のγ-アミノ酪酸(GABA)性抑制が再度増強していた。またCKD RDN施行群で血中アルドステロン濃度もSham群と比較し低下しており、長期の降圧効果・交感神経活動抑制作用への関与が示唆された。
②一方で心不全モデルとして左冠動脈結紮心筋梗塞モデルを作成し、一定期間後に心不全の病態を呈し、交感神経活動亢進を伴うことを観察。更に5/6腎摘出を施行しCKDの病態を呈した時期に心筋梗塞(冠動脈結紮)を作成し、CKD合併心不全モデルの確立を試みた。このモデルはCKDを合併しない心不全モデルと比較し、心筋梗塞作成後に高い死亡率を呈し、遠隔期の死亡率も有意に高く、著明に交感神経活動が亢進していた。これらにRDNを試みるも術中死、術後早期死亡が多く更なる工夫(麻酔薬、術式等)が必要であった。
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Research Products
(2 results)