2014 Fiscal Year Research-status Report
肺動脈性肺高血圧症へのmiRNAを応用した体性幹細胞移植療法の開発
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26860571
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
江口 正倫 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 助教 (70585405)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 肺動脈生肺高血圧症 / 細胞移植療法 / 脂肪由来幹細胞 / Endothelin / マイクロRNA |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は脂肪由来幹細胞(ADRC)が肺動脈生肺高血圧症(PAH)に対して治療効果を有するかを検討した。Monocrotalin(MCT)を用いたPAHモデルラットを作成し、1週間後、ADRC投与群と、DMEM投与群に分け、ADRC群には細胞を尾静脈から投与した。肺動脈圧は心エコーで非観血的に評価し、MCT投与後4週目、右室圧測定後、組織を採取し病理学的評価を行った。またMCT投与後2週目の肺組織からmRNA抽出し、遺伝子の発現をreal time PCRを用いて検討した。肺組織にDiIで染色されたADRCを認め、心エコーや右心室圧上は、ADRC投与群ではDMEM投与群と比較して、肺動脈圧の低下が認められた。組織学的にも肺動脈の肥厚が抑制され、またEndothelin(ET) receptor-A (p<0.05 N=6)、ET receptor-B (p<0.05 N=6), ET-1 (p<0.05 N=6)やTGF-beta(p<0.05 N=6)の遺伝子発現を抑えていた。ADRC細胞移植療法は炎症性サイトカインであるTGF-betaの発現に変化を起こし、ET1やET receptor-A ET receptor-Bの発現をおさえ、MCTによるPHの進行を抑えた。このことはADRC細胞移植療法が肺動脈性肺高血圧症の新たな治療方法になりうることが示唆された。この結果は2014年Life Sciencesで報告した。 また肺組織循環で上昇するマイクロRNAの探索を行った。PAH症例のPAとLV間で増加しているマイクロRNAを網羅的に解析し、16種類のマイクロRNAが確認できた。PAHのバイオマーカとしてマイクロRNAを同定できれば、PAH の早期発見が可能となり、早期からの治療介入ができ、予後改善が可能となる。また、マイクロRNAの肺動脈に対する作用を解明することで、PAHの新たな病因の解明が可能となり、新たな治療方法の開発が期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は、脂肪由来幹細胞(ADRC)を用いた細胞移植療法の肺動脈性肺高血圧症(PAH)への応用、PAHのバイオマーカとしてマイクロRNAの有用性、マイクロRNAを応用したADRC移植療法をPAHの新たな治療法として検討する事である。 H26年度にはADRCを用いたPAH対する治療効果を報告した。またPAHのバイオマーカとしてのマイクロRNAの有用性を検討し、16種のマイクロRNAがPAHのサンプルのPA-LV間で上昇している事がわかった。研究の目的の達成度はおおむね予定通り進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、16種類マイクロRNAがPAH症例のサンプルでPA-LV間で上昇している事が確認できた。16種類のマイクロRNAでPAH症例の血清で特異的に上昇しているマイクロRNAを検討する。また肺高血圧症に関与する特定のマイクロRNAが同定できたら、肺動脈平滑筋細胞にマイクロRNAを導入し増殖能や遊走能などを検討する。また、遺伝子導入した細胞からmRNAと蛋白質を回収し、PCRやウエスタンブロットでマイクロRNAが阻害すると考えられる蛋白質の同定を行う。 ADRCにおいて特定のマイクロRNA発現の程度を検討し、exosomを介して細胞外に分泌している程度を、培養したADRCを用いて検討する。
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Research Products
(1 results)