2014 Fiscal Year Research-status Report
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26860578
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
上 大介 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (80415588)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 心筋細胞 / Long non-coding RNA / iPS細胞 / 心筋分化 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度はiPS細胞から心筋細胞への安定した誘導法とlong non coding RNAs (lncRNAs) の解析方法を確立した。心筋細胞への分化誘導法は二次元培養にて各種サイトカインを時期特異的に添加し誘導した(Masumoto H., Sci Rep., 4: 6716. 2014)。誘導したサンプルは経時的に回収し、total RNA抽出して各ステージの心筋分化誘導関連因子にてqPCRによる解析を行った。この結果、iPSCから中胚葉系(T, MESP1)、心筋前駆細胞(NKX2-5, GATA4)、心筋細胞(cTnI, alpha MHC)への遺伝子発現変化を確認できた。これらのRNAのうち、特に初期ステージのRNAを用いて更にRNA-seq解析を行った。この結果、マウスでは報告があるもののヒトでは機能が不明な新たなlncRNAが一過性に強発現していることが明らかとなった。中胚葉誘導期から心筋細胞分化初期に最も強い変化を起こし、心筋細胞成熟過程においては速やかにその発現を減じるものという選択基準を持ってRNA-seqの結果を検討した。いくつかの候補の中でもHox gene clusterに存在しMESP1と同様の局在を示す遺伝子のアンチセンスであるlncRNAの動態が最も選択基準に合致した。取得された全長は、これまでの報告と異なったことから、RACE法による全長を再取得しおよそ3.4 kbpの配列解析に成功した。機能解析においては、siRNAによる当該lncRNAのknock downと、overexpressionによる心筋分化誘導における影響を検討するための準備を整え、そのメカニズム解析としてRNA pull downによる複合体形成タンパク解析を行うための基盤構築を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでとは異なる新しいlncRNAが一過性に強発現している因子がヒトiPS細胞を用いた系にて特定できた。当初の予定通りの進行具合であり、来期以降も同様の進行速度にて解析を進めていきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は配列決定したlncRNAを用いて分子生物学的な解析を中心に研究を遂行する。具体的にはlnkRNAの強制発現、ノックダウンによる心筋分化誘導における誘導効率を評価する。siRNAの至適配列の検討を現在進行させており、強制発現系に関しては組み換えLentivirusを本年度作成まで行なっており、それをiPS細胞に感染させ、十分な発現を確認した上で心筋分化への影響を検討する。siRNAによるノックダウンは完全な消失に至ることはまれなことより、表現形が十分に現れた場合は、そのまま解析に進み、表現形が十分に現れない場合はCRISPR/Cas9システムを用いて部位特異的なGFPマーカー等のノックインによるノックアウトも予定している。Loss-of-functionもしくはGain-of-functionにおいてどのようにTranscription networkが動き、Epigenomeの変化がおこるのか、これらがどう表現形に結びつくのかを検討する。一方、当該lncRNAの分子作用メカニズムの解析として、相互作用する分子を同定するために、RNA pull downをBiotin化lncRNAと結合するタンパク質をストレプトアビジンビーズにて共沈し、MS解析にて同定する。同定したタンパク質は分化誘導中のiPS細胞のタンパク質溶液に存在することをウェスタンブロッティング法によって確認した後、免疫沈降法にて回収したサンプル中にlncRNAが存在することをqPCRにて確認する。この両者の解析にて共に陽性となったタンパク質は当該lncRNAと結合する機能タンパク質として更なる評価と解析を進めていく。
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