2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
26860581
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
臼井 文武 自治医科大学, 医学部, 助教 (50585560)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 自然炎症 / 静脈血栓 / 動脈血栓 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、生活習慣病の増加を背景とする動脈硬化や血管内凝固亢進状態により血栓症患者が増加しており、その発症メカニズムの解明や治療法の開発は急務である。本研究では自然免疫経路の1つであり、生活習慣病など無菌的な炎症反応の惹起に重要なNLRP3インフラマソームが静脈血栓、動脈血栓モデルでの血栓形成に関与すると考え、静脈血栓、動脈血栓の各々の血栓形成におけるNLRP3インフラマソームの役割、およびその治療標的としての有用性を明らかにし、NLRP3インフラマソーム制御による新規の治療戦略の構築を目的とした。後大静脈結紮による静脈血栓モデルを野生型(Wild-type:WT)およびNLRP3インフラマソーム構成分子欠損(KO)マウス(NLRP3-KO、ASC-KO、Caspase-1-KO)やインフラマソームの活性化により分泌される炎症性サイトカインIL-1β-KOマウスを使用し疾患モデルにおける病態の変化を検討したところ、予想に反してWTマウスに比べASC-KOマウスでのみ病態が像悪することが判明した。また病態増悪の責任細胞同定のためWTマウスとASC-KOマウス間で骨髄置換マウスを作製し、静脈血栓モデルを作製したところ、血球系および非血球系のどちらかのASC欠損でも血栓形成は促進するが、ASCが全身で欠損されたマウスに比べると血栓形成が抑制されていることが判明した。次に血栓形成で重要とされる凝固因子、線溶機構、血小板の活性化について検討を行ったところ、ASC-KOマウス由来の血小板はWTに比べ活性化が誘導されやすいことが判明した。その詳細な分子メカニズムは本研究課題において明らかにすることはできなかったが、これらの知見は血栓が関連する様々な疾患の病態解明や新たな治療法の開発に役立つものと期待される。
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