2014 Fiscal Year Research-status Report
心臓におけるメタボロームイメージングの確立および移植心筋の代謝マップ作製
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26860585
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
勝俣 良紀 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (80464832)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 代謝イメージング / 急性虚血 / マイクロ波 |
Outline of Annual Research Achievements |
● マイクロ波を用いた心臓サンプルの処理の有用性の検証
10週のマウス(C57BL6J)の心臓サンプルを、麻酔下で ① マイクロ波にて心臓を処理後に凍結保存、② 頸椎脱臼後、速やかに心臓を冷却したPhosphate buffered saline (PBS)で洗浄し、液体窒素での急速凍結保存で、心臓サンプルを摘出する。それぞれの心臓サンプルをCapillary electrophoresis-mass spectrometry (CE-MS)法にて解析し、低分子代謝産物の変化を検証した。これまでは形態を保つ心臓サンプル処理法として、②が低分子代謝産物の分解抑制に有効であると考えられていたが(S hori, 1988 JMCC 21 203)、マイクロ波による心臓サンプルの処理が代謝産物の保存に対し最も有効な技術であることを証明した。またこれまでもっとも代謝産物の死後の代謝を抑制すると考えられていたfreeze cramp法と比較しても、マイクロ波によるサンプル処理は死後の虚血性変化を抑制していることが明らかになった。
● 心臓の急性虚血モデルの代謝イメージング法の確立 10週のマウス(C57BL6J)も用いて急性虚血モデルを作製し、マイクロ波を用いて心臓サンプル処理を行い、matrix-assisted laser desorption/ionization (MALDI)-imaging mass spectrometry (IMS) で急性虚血部位の代謝の変化を確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
中心代謝産物の量および分布を正確に把握するためにマイクロ波による心臓サンプル固定法が非常に重要であることが、様々な実験結果より示されたため。当初の実験計画に沿った実験の進捗と考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
マイクロ波による心臓サンプル処理の重要性に関してまずは論文を作成を試みる。また、以下の実験を計画に沿い実行する。 ● メタボリックイメージングを応用し、梗塞部、梗塞周囲部の代謝マップ、fluxマップを作成10-15週のマウス(C57BL6J)も用いて心筋梗塞モデルおよび心臓虚血再灌流モデルを作製し、マイクロウェーブ法にて心臓サンプルを処理後、13C-glucose, 13C lactate, 13C palmitic acidを用いてメタボリックイメージングによるFlux解析が可能かを検証する。また梗塞部、梗塞周辺部、非梗塞部での代謝の変化、並びに代謝産物を介した心筋組織内の細胞間コミュニケーションを解析する。虚血部位の代謝の変化を時空間的な分布を詳細に把握する。 ● メタボリックイメージングを用いた梗塞部、梗塞周囲部の新規代謝産物の同定:質量分析のスクリーニング能力を生かし心筋梗塞および虚血再灌流流域の新規の代謝産物を探索する。その結果を踏まえ、未知のバイオマーカーの同定や、虚血再灌流障害軽減のための創薬の開発を行う。この結果が、下記に述べる心筋移植の効率改善に向けた創薬の開発につながる。 ●iPS細胞から誘導した心筋をマウスの心筋梗塞部位に移植し、移植部位の代謝マップを作成:iPS細胞から樹立した心筋やcardiac fibroblastから直接誘導した心筋(iCM)は今後、心臓移植の重要なツールとなる。しかし、現時点ではこのような細胞の心筋移植後の定着効率に関しては未知な部分が多い。我々は、メタボリックイメージングを応用し、移植心筋の代謝の変化を時空間的に追跡し、効率の良い移植技術の開発を目指す。
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Causes of Carryover |
本年度は実験段階であり、発表のための旅費などの申請が少なかったため
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
引き続き実験を進めるとともに、実験結果の学会での発表や論文作成も踏まえた使用計画を予定している。
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Research Products
(1 results)