2014 Fiscal Year Research-status Report
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26860589
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
伊藤 敬一 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教 (70646843)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 組織トロンビン / 拡張型心筋症 |
Outline of Annual Research Achievements |
今回、我々は拡張型心筋症モデルマウスにおいてαSMAを含む線維化マーカーが亢進する事を予想していた。しかし、予想に反してαSMAなどの線維化マーカーは上昇を認めなかった。心臓組織中のプロトロンビンの蛋白質量は拡張型心筋症モデルにおいて上昇しており、組織におけるトロンビンの関与が疑われる事を確認した。そこで、トロンビン抑制薬であるダビガトランを経口投与したところ、拡張型心筋症マウスにおいて心臓における心収縮能の改善が認められた。また、心重量の増加も抑制されており、生存曲線においてはダビガトランを投与した拡張型心筋症マウスにおいて有意に生存率の改善が確認出来た。トロンビンが拡張型心筋症の病態に関与している事が確認出来たが、このメカニズムをさらに追及した。ERK・p38・JNKのリン酸化、Aktのリン酸化を調べたが拡張型心筋症マウスでの上昇は見られなかった。同様にIκB、MCP-1の変化も見られなかった。トロンビンとアポトーシスの関与は既に報告があるためcleaved caspase 3、cleaved caspase 9を検討したところ、cleaved caspase 9は変化が無かったが、cleaved caspase 3において、拡張型心筋症マウスにおいて上昇が認められ、ダビガトラン投与にて有意に抑制された。そこでアポトーシスの関与を考えTUNEL染色を施行、ダビガトラン投与にて拡張型心筋症マウスにおけるアポトーシスは抑制される傾向にあった(統計学的有意差はなし)。さらに他の分子も検討するためマイクロアレイ解析を施行、Casq1・Postn・Myh7が拡張型心筋症マウスにおいて上昇しダビガトランで抑制されたが、蛋白質レベルの検討では有意差は認められなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初予定していなかった組織トロンビンの心機能に及ぼす影響について考察する事が出来た。そこで、次に心筋特異的プロトロンビン過剰発現マウスの作製を予定する事が出来た。現在αMHC-prothrombin-SV40Aのコンストラクトは完成し、マウスを作製する段階である。そのため、当初の計画以上に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
心臓特異的プロトロンビン過剰発現マウスを作製し、プロトロンビン過剰発現により心機能に影響が出るかどうかを検討していく。
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Causes of Carryover |
プロトロンビン過剰発現マウスを作製するので、業者にマウス作製委託をしなければならないため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
プロトロンビン過剰発現マウス作製のために使用します。
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