2015 Fiscal Year Research-status Report
アポA-I模倣ペプチドによる末梢動脈疾患の多面的治療戦略
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26860591
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
今泉 聡 福岡大学, 医学部, 准教授 (60609478)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 血管新生 / NO |
Outline of Annual Research Achievements |
現在までに末梢動脈疾患の患者では、活性酸素産生の原因となるNADPH oxidaseが増加していることが報告されている。また、NADPH oxidaseの増加は、内皮機能不全へ繋がるeNOSのuncouplingと関係している。一方でHDLは酸化ストレスを軽減し、内皮機能を改善することが分かっている。そこで、FAMPの活性酸素産生の経路に対する影響を調べるため、FAMP投与群と非投与群で虚血肢中のNADPH oxidase 2 (NOX2)を測定した。その結果、FAMP群で有意に減少していることが分かった。これにより、FAMPがeNOSの活性に関与している可能性も考えられた。次にin vitroの実験で、FAMPによるヒト血管内皮細胞に対するeNOS活性化、細胞内伝達因子への影響を検討した。その結果、FAMPは血管内皮細胞におけるAkt、ERK、eNOSを活性化させることが分かった。PI3K/Aktの阻害薬であるLY294002はFAMPによるeNOSの活性化を阻害したが、ERK阻害薬であるPD98059ではeNOSの活性化は阻害されず、FAMPのeNOS活性化作用はPI3K/Aktの経路を介していると考えられた。さらにFAMPの効果を検討するため、scratch injury modelで血管内皮細胞遊走能への影響を検討した。その結果、FAMP群はcontrolと比べ有意に遊走能が増強しており、NO産生阻害薬であるL-NAMEはFAMPによる内皮細胞の遊走促進作用を阻害した。さらに通常食群と高コレステロール食群のマウスのHDLを用いて、そこにFAMPをincubationしたものを添加したところ、高コレステロール食群マウスのHDLによる遊走能の改善を認めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究目的であった血管内皮細胞を使用したin vitroにおけるFAMPの血管新生メカニズムを明らかにすることは、ある程度実現できているため。
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Strategy for Future Research Activity |
FAMPの効果的な投与方法、脂質輸送体・受容体の検討や、FAMPによる血管新生遺伝子導実験を行う。
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Causes of Carryover |
最小限のサンプル測定で結果を出すことができたため、その分繰越金が発生した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今後の推進方針であるFAMPの効果的な投与方法、脂質輸送体・受容体の検討や、FAMPによる血管新生遺伝子導実験に必要な試薬などの購入を行う。
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Research Products
(1 results)
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[Journal Article] The ApoA-I mimetic peptide FAMP promotes recovery from hindlimb ischemia through a nitric oxide (NO)-related pathway2016
Author(s)
Kohei Takata, Satoshi Imaizumi, Emi Kawachi, Eiji Yahiro, Yasunori Suematsu, Tomohiko Shimizu, Satomi Abe, Yoshino Matsuo, Kyoko Nakajima, Tetsuhiko Yasuno, Shiro Jimi, Bo Zhang, Yoshinari Uehara, Shin-ichiro Miura, Keijiro Saku
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Journal Title
International Journal of Cardiology
Volume: 207
Pages: 317-25
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research / Acknowledgement Compliant