2014 Fiscal Year Research-status Report
喘息の気道上皮細胞におけるステロイド抵抗性獲得機構に関する研究
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26860598
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
横田 雅也 千葉大学, 医学部附属病院, 助教 (70721950)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 気管支喘息 / 気道上皮細胞 / ステロイド / HDM |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究者は、喘息の主要なアレルゲンであるチリダニアレルゲン(HDM)を経気道投与したマウスから単離した気道上皮細胞におけるトランスクリプトームの網羅的解析をRNA シークエンス法を用いて行った。その結果、グルコルチコイド(GC) の細胞内代謝に関与する11β-hydroxysteroid dehydrogenase type 2(11β-HSD2)の発現がコントロール群に比して5 倍以上増強することを見出した(未発表データ)。 したがって、本研究では気管支喘息モデルの気道上皮細胞における11β-HSD2 の役割を解明すること、およびヒト気道上皮細胞におけるHDM 暴露による11β-HSD2 の発現機構を解明することを目的とした。 平成26年度の研究では、マウス肺での11β-HSD2の発現が、内皮細胞やCD45陽性血球細胞に比べ上皮細胞ではるかに高いことを見いだした。また、マウス気道上皮細胞におけるHDM吸入によるCCL20、KC、GM-CSF, IL-6の発現は、11β-HSD2の阻害薬であるカルベノキソロン(CBX)を吸入させることにより、腹腔内投与よりも効果的に抑制された。 HDM誘導性喘息モデルの解析の過程で、喘息の難治化に関与するとされる杯細胞過形成に関わる遺伝子Xを見出した。遺伝子Xによる杯細胞過形成のメカニズムについても平行して解析を進めている。 他方、ヒト気道上皮細胞株(BEAS-2B)における11β-HSD2の発現レベルは、マウスから単離した気道上皮細胞に比べ低く、刺激による上昇も軽微であった。そのため、新たにAir-liquid interface(ALI) cultureの培養実験系を確立し、解析を行なっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
予定していた遺伝子改変マウスの輸入に遅れをきたしたことから、気道上皮細胞特異的遺伝子欠損マウスの作成が遅れている。一方、すでに喘息モデルマウスの実験系やALI cultureの実験系は確立できており、治療抵抗性喘息に関わりうる新たな因子を見出したことも総合すると、上記の達成度と考える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、ALI cultureにおけるマウス気道上皮細胞を用いて、LPS、真菌抗原、Der P1、Der P2 等で刺激し、11β-HSD2 の発現誘導機構を解析する。 さらに、気道上皮細胞特異的遺伝子欠損マウスの作成が遅れも鑑み、遺伝子Xについての解析も平行して行なっていく予定である。すでに遺伝子X欠損マウスを用いたHDM誘導性喘息モデルの解析を開始している。
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