2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26860607
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
永野 達也 神戸大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (80624684)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 国際情報交換 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度は予定通り、phospholipaseCε(PLCε)の肺線維症における役割を明らかにするために、まず(1)線維芽細胞におけるPLCεの発現を解析し、(2)ブレオマイシン誘導性肺線維症モデルの表現型に与えるPLCεの遺伝子型の影響について解析を行った。まず、C57Bl/6マウスより麻酔下に肺を摘出し、DNaseやcollagenase処理下で線維芽細胞を単離し、初代培養した細胞にPLCεが発現することをqRT-PCRにより確認した。また、PLCεの野生型(WT)とノックアウト(KO)マウスにブレオマイシン 60 mUを経気道投与し、ブレオマイシン誘導性の肺線維症マウスモデルを作成したところ、野生型マウスでみられるday7の体重減少やday21の病理切片における肺胞腔の炎症細胞の浸潤がKOマウスで著明に抑制されることが明らかとなった。また、マッソン・トリクローム染色で評価したところ、肺胞腔の膠原繊維の沈着がKOマウスでWTマウスに比較して著明に抑制されていた。以上の事から、PLCεは線維芽細胞に発現しており、肺線維症の表現型に遺伝子型の影響が見られることを明らかにした。肺線維症の有病率は人口10万人あたり20人程度と推定され、慢性、進行性では生存期間中央値は2-5年と極めて悪性度が高い。本研究によって肺線維症の表現型におけるPLCεの役割が明らかになったことは、新しい治療標的となり得る可能性を示したこととなり極めて大きな意義がある。また、申請者の研究を除くと、PLCεが呼吸器領域の炎症に関与しているかどうかに関する研究はなく、世界に先駆けた成果として重要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
肺線維症モデルの実験として計画していた② PLCεの遺伝子型の肺線維症の表現型に与える影響の解析は研究実績の概要に記載した通り全て終了しており、④上皮間葉系細胞のヘルパーT細胞の制御機構の解析は一部が終了している。喘息モデルの実験として計画していた①PLCεの気道リモデリングに与える影響の解析は今年度に実施する予定であり、③ヘルパーT細胞を中心とした炎症細胞のサブセットの決定は現在進行中である。
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Strategy for Future Research Activity |
肺線維症、気道リモデリングの実験を行うにあたって、書類上の準備、必要マウスの準備は終了しており、計画書に記載した計画通りに実験を行なっていく。すなわちブレオマイシン肺線維症モデルを作成し、気管支肺胞洗浄を行い、ヘルパーT細胞を中心とした炎症細胞のサブセットを決定し、PLCεが上皮系サイトカインの分泌を制御する機構について上皮間葉系細胞の初代培養を行い解析していく。 気道リモデリングマウスモデルについては、慢性喘息マウスモデルを作成して表現型を解析する。また、肺線維症と同様に、気管支肺胞洗浄液中の炎症細胞のサブセットを解析していく。
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