2015 Fiscal Year Annual Research Report
悪性胸膜中皮腫細胞と癌間質線維芽細胞間におけるオステオポンチンの役割
Project/Area Number |
26860609
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
三好 誠吾 愛媛大学, 医学部附属病院, 講師 (20452691)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | オステオポンチン / 上皮間葉移行 / 癌間質線維芽細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
癌間質線維芽細胞(以下CAF)は癌間質の主要な構成細胞である。特に癌細胞から産生されるTGF-βによって線維芽細胞から筋線維芽細胞(≒CAF)への分化が誘導され、PDGFによって遊走や増殖が促進される。さらにCAFはTGF-βやHGFなどを産生し、癌細胞の上皮間葉移行(EMT)に関与していることが報告されている。一方でオステオポンチン(OPN)は、TGF-βの刺激により誘導されることが報告されている。申請者らは腫瘍組織におけるTGF-βの作用の一部がOPNを介した作用ではないかと考えた。血清OPNは悪性胸膜中皮腫において、活動性の指標になることがすでに報告されているが、癌微小環境に対しての機序自体はいまだ不明な点が多い。そこで本研究において、OPNによる癌細胞のEMTの変化に焦点を当てて、癌微小環境中の主要な細胞であるCAFと癌細胞との間におけるOPNの役割を解明することを目的とした。悪性胸膜中皮腫の細胞株であるNCI-H2452(上皮型)、ACC-MESO-4(上皮型)においてOPNの発現を認めた。しかし、いずれの細胞株においても、線維芽細胞であるNHLFとの共培養において、共培養をしなかった細胞と比較して、EMTとしての形態学的な変化の違いや、E-cadherin、N-cadherin蛋白の発現に差を認めなかった。 悪性胸膜中皮腫細胞株ではEMTの変化をとらえることが困難であったため、肺癌細胞株であるA549細胞株を使用して、共培養下での形態学的な変化、E-cadherin、N-cadherinの変化を検討した。この結果、共培養後3日目に形態学的な変化、およびE-cadherinの発現の低下、N-cadherinの発現の上昇を認めた。また共培養における上清中のOPNの濃度は、有意な上昇を認めた。今後、リコンビナントOPNやRNA干渉によるOPNの抑制などで、A549細胞と線維芽細胞との間のTGF-βやEMTにかかわる因子の発現量を検討していきたい。
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