2014 Fiscal Year Research-status Report
新規WNKキナーゼ制御系であるKLHL3-Cullin3の病態生理学的役割の検討
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26860629
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
若林 麻衣 東京医科歯科大学, 医歯学総合研究科, 非常勤講師 (00707292)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 偽性低アルドステロン血症II型(PHAII) / NaCl共輸送体(NCC) / ユビキチン / E3リガーゼ / ノックインマウス / 蛍光相関分光法(FCS) |
Outline of Annual Research Achievements |
偽性低アルドステロン血症II型(PHAII)は塩分感受性高血圧、高K血症、代謝性アシドーシスを呈する遺伝性疾患である。これまで、WNK1およびWNK4キナーゼがその原因遺伝子であることが判明しているが、最近新たに、KLHL3とCullin3が原因遺伝子として同定された。KLHL3の生理的基質と、KLHL3の遺伝子変異によるPHAIIの発症メカニズムを解明するため、疾患起因性KLHL3遺伝子変異(R528H/+)をノックインした遺伝子改変マウスを作成した。KLHL3(R528H/+)ノックインマウスは塩分感受性高血圧、高K血症、代謝性アシドーシスを呈した。さらにKLHL3(R528H/+)ノックインマウスの腎臓においてNaCl共輸送体(NCC)のリン酸化は亢進しており、KLHL3(R528H/+)ノックインマウスはPHAIIの疾患モデルマウスとして適していると考えられた。興味深いことに、KLHL3(R528H/+)ノックインマウスの腎臓ではWNK1とWNK4のタンパク発現量はともに増加しており、WNKキナーゼがWNK-OSR1/SPAK-NCCリン酸化シグナル伝達系を活性化していることが確認された。さらにKLHL3-R528H変異体がWNKキナーゼと結合するかどうかを蛍光相関分光法(FCS)を用いて調べたところ、R528H-KLHL3変異体はWNK1ともWNK4とも結合しないことがわかった。このことから、KLHL3はWNKキナーゼを生理的な基質とし、R528H-KLHL3変異体においては、WNK1およびWNK4のユビキチン化が障害されタンパク発現量が増加し、PHAIIを引き起こすと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度当初、研究目的として、PHAII疾患起因性KLHL3およびCullin3遺伝子変異ノックインマウスの作成と解析を挙げた。平成26年度においては、研究実績の概要 で記した通り、PHAII疾患起因性KLHL3遺伝子変異ノックインマウスの作成に成功し、その解析を施行、PHAII病態形成におけるKLHL3の役割の解明に成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
新規WNKキナーゼ制御系であるKLHL3-Cullin3ユビキチンリガーゼの病態生理学的役割を明らかにするために、WNKキナーゼのKLHL3-Cullin3によるユビキチン化の全体像の詳細をin vitroの系および培養細胞系で検討する。まず、質量分析によりWKN4のユビキチン化部位を同定し、培養細胞系にて、WNK4のユビキチン結合様式と分解様式の検討を行う。さらにPHAII疾患起因性Cullin3遺伝子変異ノックインマウスの作成、解析を行い、平成26年度に作成、解析を行ったKLHL3遺伝子変異ノックインマウスの結果とあわせて、WNKの分解障害が関わる病態を全身臓器にて明らかにする。
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