2014 Fiscal Year Research-status Report
IgG4関連疾患の新規診断法の確立、病態解明、その腫瘍化の検討
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26860637
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
谷口 義典 高知大学, 教育研究部医療学系, 助教 (70584431)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | IgG4関連疾患 / 線維化 / サイトカイン / Wntシグナル / コリンエステラーゼ / FDG-PET/CT |
Outline of Annual Research Achievements |
IgG4関連疾患(IgG4-RD)患者の疾患活動性および治療後の評価について各種血中蛋白測定およびFDG-PET/CTなどの画像検査にて評価した。一方、IgG4-RD患者(20名)において、血清学的/病理組織検査、FDG-PET/CTにて臨床所見を評価した。多臓器病変(3臓器以上)を伴ったIgG4-RD(M)(10名)、限局性病変(2臓器以下)を伴ったIgG4-RD(L)(10名)、ANCA関連血管炎(AAV)患者(10名)、シェーグレン症候群(SjS)患者(10名)において、血清学的マーカーの比較検討を行った。さらにIgG4-RD群では病変数と線維化マーカーとの関連についても検討した。一部は健常者とも比較検討した。 まず、IgG4-RD患者では、FDG-PET/CTによる病変部のFDG高集積は治療前後に有意に集積低下および病変縮小改善を認めた。 また、IgG4-RD(M)群では、(L)群、AAV群、SjS群と比較して、血清ChEが有意に低値であった(p<0.05)。なお、いずれの症例も、血液検査上、有意な肝機能障害を認めなかった。AlbやIgGはAAVで有意に低く、またCRPはAAVで有意に高く、いずれもIgG4-RD(M)とSjS群間では有意差は認めなかった。IgG4-RD全体では、ChEと病変数、ChEと線維化スコア(肝線維化スコア:ELF scoreを使用)はいずれも負の相関を、線維化スコアと病変数は正の相関(既報と同様)を示した。さらに他の線維化マーカーの可能性が示唆されているDkk-1の検討では、IgG4-RD(M)群は健常群や(L)群に比し有意に低値を示した。このことから、現段階では、IgG4-RDにおいて病変数と線維化マーカーは有意な相関を示し、病変数が多いものほど線維化進行が強い可能性が示唆され、また血清ChEはそれらを予期する可能性が示唆された。さらに例数を増やし、より詳細な検討を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
画像検査や血清学的評価などの前向き研究は概ね順調に進展しているが、保存尿や組織の一部を用いた各種サイトカイン、転写活性因子、抑制因子、エピジェネティック修飾因子などの診断治療前後での測定評価については、多くの労力と時間を要するため、やや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
IgG4-RDの疾患活動性と画像や血清学的検査などの前向き比較検討については、従来通り進行させていく予定である。加えて、保存血清/尿や組織の一部を用いた各種サイトカイン、転写活性因子、抑制因子、エピジェネティック修飾因子などの診断治療前後での測定評価については、他の施設の病理学専門医にも協力頂き、作業を早めていく予定である。
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Causes of Carryover |
本年度は血清などをはじめとした組織保存に多くの時間を要し、一部のELISA測定などに時間を費やすことが困難であった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
保存検体を用いて、新たな病態マーカーとなりうる蛋白のELISA assayなどを効率よく施行していく。
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Research Products
(6 results)