2014 Fiscal Year Research-status Report
急性腎障害のミトコンドリア機能保護とマイトファジーによる新規治療法の開発
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26860638
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
緒方 巧二 高知大学, 医学部附属病院, 特任助教 (30527586)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ミトコンドリア |
Outline of Annual Research Achievements |
現在透析療法に至っている患者数は全国で30万人を越え、特に急性腎障害は、患者の高齢化などにより発症頻度は高まっており、全入院患者の5%、ICU入院患者の20%で発症するといわれている。急性腎障害をおこした場合長期的な腎機能低下と生命予後の悪化が起こる。本研究では、尿細管細胞のミトコンドリア機能の保持およびミトコンドリアのオートファジー (マイトファジー/Mitophagy, mitochondrial autophagy)の調整をすることにより、腎機能の保護、回復・再生を目標とする。具体的には、1) 尿細管細胞におけるマイトファジー系の腎保護への関与、2) 急性腎障害におけるミトコンドリアの機能保持の新規薬物による調整、3) 急性腎障害腎生検検体でのオートファジー/マイトファジー検出とその意義の検討である。 近位尿細管はミコトンドリアの含有量が高く、オートファジー/マイトファジーは尿細管の脱分化、再生に関与する可能性は高い。申請者らの研究室ではSestrin2とBNIP3に注目し、これらの遺伝子が虚血で近位尿細管細胞で誘導されオートファジーを促進する事を見いだしている。ミトコンドリア障害が急性腎障害の病態の主体とする考えはいままでになく、薬物(ALA)や遺伝子制御によるミトコンドリア障害の防御、マイトファジーの調整による急性腎障害の新規治療法の開発は新規性が高い。腎生検検体での検討により、臨床的な発展も期待でき、患者数が急増している急性腎障害と透析導入の画期的な治療法に結びつく可能性がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、新規遺伝子Sestrin2とBNIP3に注目し、Sestrin2のKOマウスあるいはBNIP3のKOマウスを作成し、尿細管の再生、脱分化におけるSestrin2/BNIP3-マイトファジーの働きについて検討して良好な結果を得た。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は ALA(5-aminolevulinic acid)の低酸素負荷時のミトコンドリアへの保護作用を、ミトコンドリア膜電位測定、PGC-1などの機能遺伝子の発現調節をin vitro急性腎障害モデル動物で検討する予定である。
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Causes of Carryover |
消耗品等の購入額が当初に比べて少なくなったため
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
学会参加費に使用する
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