2014 Fiscal Year Research-status Report
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26860641
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
加藤 裕紀 宮崎大学, 医学部, その他 (40610283)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 生理的小胞体ストレス応答 / 小胞体ストレス / 腎疾患 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、細胞質タンパク質やリン酸脂質構成等の変動に伴った細胞内環境変化により生ずる生理的小胞体ストレス応答の役割やその破綻が要因となり生ずる病態生理が様々な組織において注目されている。本研究課題は腎機能における生理的小胞体ストレス応答の役割を明らかにし、腎臓の病態解明に迫ることを目的としている。平成26年度、研究代表者は本研究課題に関して以下の成果を得た。各種腎細胞培養系(mesangial cell, tubular cellなど)を用いて、小胞体ストレスセンサータンパク質の活性化機序に関与することが想定される候補分子をgain-of-functionおよびloss-of-functionの実験系でスクリーニングした結果、小胞体ストレスセンサータンパク質PERKとIRE1αの活性化に関与する可能性がある分子を複数同定した。これらの分子を各種腎細胞培養系で発現抑制すると、小胞体ストレス、酸化ストレスおよび重金属ストレスにより引き起こされる細胞傷害および細胞死が緩和された。逆に過剰発現させると、細胞傷害および細胞死は増悪した。このことから、腎障害時においてこれらの分子により活性化される小胞体ストレス応答は負に寄与していることが考えられた。さらに腎尿細管上皮細胞を用いて、これらの分子と小胞体ストレスセンサータンパク質が相互作用するかどうか解析した結果、ストレス条件下において相互作用が強く誘導されることが示唆される結果が得られた。興味深いことに、この結合は過剰発現系においては非ストレス条件下でも低レベルで起こっており、微弱な小胞体ストレス応答を誘導していることが考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題は腎機能における生理的小胞体ストレス応答の役割を明らかにすることで、腎障害の病態解明に繋げることを究極の目的としている。本年度、腎細胞において生理的小胞体ストレス応答の制御に関与することが考えられる分子機序の一端を明らかにした。本研究課題を完遂するには、in vivo実験や人為的にその分子機序の活性化を制御するシステムを開発することが必要不可欠であるが、本研究は順調に進展していると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は第一義に、マウスを用いたin vivo実験系で腎臓における生理的小胞体ストレス応答が腎機能にどのような役割を果たしているのかを明らかにする。遂行する上で、多くの課題がいくつも挙げられるが、アデノ随伴ウィルスや単鎖型抗体等の技術を取り入れながら遂行していく予定である。
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Research Products
(1 results)