2015 Fiscal Year Annual Research Report
ヒトES・iPS細胞由来腎臓・血管前駆細胞と脱細胞化技術の融合による新規腎臓再生
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26860643
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
山口 慎太郎 慶應義塾大学, 医学部, 特任助教 (50464855)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ヒトES・iPS細胞 / 尿細管細胞 / tubular organoids |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者らはヒト胚性幹細胞(embryonic stem cell: ES細胞)およびヒト人工多能性幹細胞 (induced pluripotent stem cell: iPS細胞)から尿細管前駆細胞を分化誘導し, 三次元構造を有する腎臓再生の基盤を構築することを目的に研究を展開した.まず第一に, 尿細管細胞に発現が特異的な Kidney specific protein (KSP)を指標に, 尿細管細胞への効率的な分化誘導法の確立を目指した. ヒトES/iPS細胞はGSK3β阻害剤を用いた3日間の培養により原条へ分化し, その後EGFを含む低血清培地での7日間の培養により中間中胚葉, さらには尿細管細胞へと分化した.申請者らの研究室で独自に作成し, ヒト尿細管細胞を特異的に認識することを確認した抗KSPモノクローナル抗体を用いたFlow cytometryにより, 約5%のKSP陽性細胞の純化に成功した. KSP陽性細胞は, 尿細管細胞の機能的な特徴であるγ-glutamyl transferase活性を有した.また, 分泌糖タンパクで, 腎臓の発生において, 尿細管形成に必須の因子である Wnt4 の強制発現細胞株であるNIH3T3-Wnt4 細胞とのマトリゲルを介した共培養によって、KSP 陽性細胞は,MEGALIN, AQP1,2陽性の管腔構造を形成した. さらに,マウス胎仔腎臓由来細胞とのorganoid cultureにより, flow cytometryによりソーティングしたヒトES細胞(KSP+/TRA1-60 negative)はKSP/lotus tetragonolobus lectin陽性の管腔構造を形成した.これらの結果により, 純化したKSP 陽性細胞は尿細管細胞であり, 管腔構造形成により成熟尿細管の形質を獲得することが示された.
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