2014 Fiscal Year Annual Research Report
小胞体分子シャペロン誘導を介した糖尿病腎症の抗線維化治療
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26860650
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Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
乙田 敏城 金沢医科大学, 医学部, 助教 (60719946)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 糖尿病腎症 / 小胞体ストレス / 線維化 / EndMT / X-box binding protein 1 / microRNA |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞内外のタンパク質の恒常性を司るメカニズム「小胞体(ER)ストレス応答」は、多様な疾患の治療標的として注目を浴びている。代表者は、今まで不明のままであった肥満がいかなる機序でERストレスとインスリン抵抗性を引き起こすのかを明らかにしている(Diabetes 2013)。今回、糖尿病腎症の進行過程で認められる腎臓の線維化において、ERストレス応答の関与に着目し研究を行った。代表者らは6週齢雄CD1マウスにストレプトゾトシン(200 mg/Kg)を単回投与し1型糖尿病(T1D)腎線維化モデルマウスを確立した。このモデルでは糖尿病誘導6ヶ月で糸球体硬化、尿細管間質の線維化が生じ、そのような腎間質の線維化は内皮間葉分化転換(EndMT)と関連していることを見出している。このT1D腎線維化モデルマウスでは、腎間質の血管内皮においてX-box binding protein 1 (XBP-1)の発現が低下していることを見出した。また近年、腎臓における様々な生理学的、病理学的応答系へのmicroRNA (miR)の関与が明らかとなってきており、前述のT1D腎線維化モデルマウスの腎臓におけるmiR microarray解析および定量的miR PCRを施行した。その結果、miR-214の発現が有意に亢進していた。miR-214はXBP-1の3’UTRと相互作用することが報告されている。以上の結果より、XBP-1の発現低下が、内皮細胞機能不全を起こし、EndMTを介して腎線維化を促進する可能性が示され、miRを含めたERストレスの制御が糖尿病腎の線維化治療の標的となることが期待される。
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