2014 Fiscal Year Research-status Report
ミトコンドリアの恒常性維持を基盤としたサーチュインの糖尿病腎症に対する意義の解明
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26860651
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Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
渡邉 愛(竹田愛) 金沢医科大学, 大学病院, 医員 (70625722)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 糖尿病腎症 / カロリー制限 / サーチュイン / ミトコンドリア |
Outline of Annual Research Achievements |
2型糖尿病腎症の発症・進展抑制に対するカロリー制限の腎保護効果と糖代謝に及ぼす影響を検証するため、2型糖尿病モデル動物である、Zucker Diabetic Fatty (fa/fa)(ZDF)ラット(7週齢雄)と非糖尿病Zucker Lean (ZL)ラットを通常食群と40%カロリー制限食群に分別し、18週間飼育した。体重・摂食量は毎週、血糖値(空腹/随時)は2週間ごとに測定し、18週後にHbA1C値・尿アルブミン排泄量(UALB)・腎重量・腎組織(PASおよび、マッソン・トリクローム染色によるメサンギウム領域の拡大・線維化)を評価した。糖尿病ラットの通常食群と比較してカロリー制限食群において、体重(通常食:カロリー制限食 382.4±40.9:390.7±94.9g, n=5, NS)は有意差を認めなかったが、腎重量(通常食:カロリー制限食3.24±0.34:2.41±0.14g, n=5, p<0.001)は有意に減少した。また、糖尿病カロリー制限群では、通常食群に比べ、血糖値(通常食:カロリー制限食 635.5±35.9:229.4±101.1mg/dl, n=5, p<0.001)およびHbA1C値(通常食:カロリー制限食 8.8±0.90:5.8±1.69%, n=5, p<0.001)の有意な低下を示した。さらに糖尿病カロリー制限食群は、通常食群と比較して、UALBの有意な低下(通常食:カロリー制限食 3479±2705.6:22.55±34.84mg/gCr, n=5, p<0.001)及び、腎組織(メサンギウム領域の拡大と尿細管間質の線維化)の改善を認めた。以上より、カロリー制限は、2型糖尿病ラットにおける糖代謝の改善と腎保護効果を示すが、今後、カロリー制限のサーチュインの活性化、さらにミトコンドリアの恒常性維持に係わる詳細を明らかにする予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
糖尿病ラットに対するカロリー制限の介入と各種サンプルは得ているため予定の解析を行っていくことができる。
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Strategy for Future Research Activity |
カロリー制限の介入による、抗老化とミトコンドリア恒常性維持機構(とくに融合/分裂とオートファジー(ミトファジー)バランス異常)の関与、ならびにミトコンドリアの恒常性維持に対するサーチュインの意義を明らかにするために、引き続き上記の2型糖尿病モデルラットの組織を用いて検証を継続する。 ミトコンドリア酸化ストレスの評価、とくに腎臓における炎症性変異の検出を行う。炎症関連遺伝子TNF-α・MCP-1・IL-6などの評価、炎症マーカーCD68を用いた免疫染色を行う。 ミトコンドリア恒常性破綻の検証を、腎組織に於けるミトコンドリア数/細胞、ミトコンドリア DNA量の測定をし、加えて組織内のミトコンドリアバイオジェネーシスの評価として、RT-PCRを用いたミトコンドリア関連転写調節因子PGC-1α・NRF1などの発現の測定、ミトコンドリア融合/分裂・ミトファジーの評価として電子顕微鏡的のミトコンドリア形態の観察を行う。さらにミトコンドリア融合・分裂関連蛋白のmitofusin(mfn1、mfn2)・OPA1・PINK、Parkinなどの活性、変異の評価を行い、ミトコンドリア蛋白のアセチル化/脱アセチル化についての検証を、リジンアセチル化抗体のウェスタンブロットにて行う。 腎組織における各サーチュインの発現や変異を、ウェスタンブロット、RT-PCR法を用いて評価する。
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