2015 Fiscal Year Research-status Report
ミトコンドリアの恒常性維持を基盤としたサーチュインの糖尿病腎症に対する意義の解明
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26860651
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Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
渡邉 愛 (竹田愛) 金沢医科大学, 大学病院, 医員 (70625722)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 糖尿病腎症 / 酸化ストレス / ミトコンドリア / Sirt3 |
Outline of Annual Research Achievements |
腎重量、尿アルブミン/L-FABP排泄量、血漿シスタチンC値、腎線維化・尿細管障害・炎症および電子顕微鏡下における近位尿細管細胞のミトコンドリア(Mt)の膨化/断片化はZL群に比べZDF+STD群で有意な増加を認めた。ZDF+STD群での変異は18週間のCRにより改善。CRによる腎障害改善効果はHbA1c値が部分的な低下もZL群とほぼ同等までに改善したことより血糖低下効果とは独立した作用である。尿中8-OHdG排泄量・腎皮質MtDNA中8-OHdG含有量は、ZL群に比べZDF+STD群で有意な増加を認めた。Mn-SOD, イソクエン酸デヒドロゲナーゼ(IDH)2の抗酸化酵素活性は、Sirt3による脱アセチル化により制御を受けている。糖尿病腎におけるMn-SOD,IDH2アセチル化は、ZL群に比べZDF+STD群で増強していることから、糖尿病腎ではSirt3活性低下に起因するMn-SOD,IDH2のアセチル化の亢進/活性低下とMt酸化ストレスが増強した可能性がある。Sirt3の発現量にZL群とZDF群間で差を認めなかったため、現在腎におけるNAD+/NADH比の測定を行っている。 通常Mtは酸化ストレスを含む細胞内ステレスにより障害を受けると、その障害部位を分裂し切り離した後、Mtバイオジェネシスの増加と引き続き生じるMt融合によりその恒常性が維持される。分裂し断片化したMtはオートファジー(AP)による分解後リサイクルされる。電子顕微鏡による近位尿細管細胞Mtの形態的観察において、糖尿病ラットでは、Mtの膨化/断片化などの形態異常が存在していること、またDRP(Mt分裂関連蛋白)の発現増加およびp62の蓄積(AP低下の際増加)を認めた。これらの結果から糖尿病腎近位尿細管では、Mt酸化ストレス亢進⇒Mt分裂増加⇒AP機能低下による断片化Mtの細胞内蓄積⇒更なる酸化ストレス、炎症、尿細管細胞機能障害⇒腎線維化⇒腎機能低下をきたしている可能性が推察される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ラットを用いたin vivo実験はおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の課題・展望として、糖尿病腎尿細管におけるSirt3の活性低下が、糖尿病状態に起因する腎障害の原因として重要であるかどうかの直接的な証明が必要である。そのために、培養尿細管細胞を用い、siRNAによるSirt3ノックダウン(活性低下を模倣)によるミトコンドリア蛋白のアセチル化、Mn-SODおよびIDH2アセチル化およびそれら酵素活性と酸化ストレス、炎症、ミトコンドリア形態異常、オートファジーの評価を行う。さらにオートファジーあるいは、ミトコンドリア分裂/融合の制御に関わる蛋白の機能制御にSirt3が関与しているかどうか、その点に関する新たな標的蛋白を見出したい。
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