2014 Fiscal Year Research-status Report
IgA腎症の発症・進展における組織トランスグルタミナーゼの役割の解明
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26860652
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
高橋 和男 藤田保健衛生大学, 医学部, 講師 (90631391)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | IgA腎症 / 組織トランスグルタミナーゼ / 新規診断法 / 糖鎖異常IgA1 / メサンギウム増殖性腎炎 |
Outline of Annual Research Achievements |
動物モデルの検討から,IgA腎症(IgAN)の発症機序に組織トランスグルタミナーゼ(TG2)の関与が疑われている。ヒトメサンギウム細胞はTG2を持つが,通常は活性化しておらず酵素活性を持っていない。そこでTG2特異的FITCラベル高反応性基質ペプチドを用いた腎生検組織のTG2活性の検出法を確立し,IgAN患者腎生検組織(n=65)のTG2活性を検討したところ,54%にメサンギウム領域のTG2活性を検出した。一方その他の糸球体疾患(n=135)では,7%にわずかなメサンギウム領域の活性を認めるのみであった。メサンギウム領域のTG2活性はImage Jを用いて定量しスコア化した。メサンギウムTG2活性スコアはIgANでDCに比較し有意に高値であった(11.1 vs. 0.9, P<0.001)。さらにメサンギウムTG2活性陽性のIgAN患者は,陰性の患者に比し有意に蛋白尿が多かった(P<0.05)。腎病理医によるOxford分類との比較では,TG2活性と管内細胞増多(E),糸球体硬化(S),尿細管萎縮/間質線維化(T),半月体(Ex)スコアに関連はなかったが,TG2活性陽性患者では有意にメサンギム細胞増多(M)スコアが高値であった(P<0.05)。高分解能質量分析計にて,血清IgA1のヒンジ部糖鎖構造解析を行ったが,メサンギウムTG2活性陽性患者と陰性患者に差は認めなかった。また培養メサンギウム細胞の糖鎖異常IgA1刺激ではTG2発現に変化を認めなかった。IgANのメサンギウム領域ではTG2が高率に活性化し,糖鎖異常IgA1と独立してメサンギウム細胞増多,蛋白尿と関連していた。活性型TG2の検出は本症の新規診断法として有用と考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
TG2特異的FITCラベル高反応性基質ペプチドを用いた腎生検組織のTG2活性の検出法を確立し,ヒト腎生検組織に応用,臨床所見との比較を完了した。IgA腎症の蛋白尿,メサンギウム細胞増多に関連することを見出した。ヒト培養メサンギウム細胞における,糖鎖異常IgA1とTG2の関連についての検討を開始し,糖鎖異常IgA1とTG2発現には関連がないことが判明した。さらにTG2がどのようにメサンギウム細胞において活性化するか検討を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
IgAN患者のメサンギウム領域のTG2活性をより多数の患者で確認する予定である。さらにヒト培養メサンギウム細胞を用いて,様々な分子量のIgA,免疫複合体にて刺激しTG2発現を検討している。メサンギウム細胞におけるTG2活性機序を明らかとし,TG2活性抑制の点からメサンギウム細胞増多を抑制し,本症の治療ターゲットになりうるか検討する。
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Research Products
(3 results)