2014 Fiscal Year Research-status Report
振動分光技術を用いた非標識α-シヌクレインのin vivo定量的測定法の開発
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26860660
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
長島 優 東京大学, 医学部附属病院, 日本学術振興会 特別研究員(PD) (20635586)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | シヌクレイン / 振動スペクトル / ラマン分光 |
Outline of Annual Research Achievements |
1. 非線形ラマン分光装置の開発 新たにCARS(coherent anti-Stokes Raman scattering)スペクトルの測定系を製作した。チタンサファイアオシレータで発生した単一のフェムト秒パルスを、バンドパスフィルターを用いたマイケルソン干渉計に導き、広帯域なポンプ光と狭帯域なプローブ光とに一旦分離、その後再度共軸化し試料に集光する。試料中の分子は広帯域光で複数の振動準位が同時に励起されており、狭帯域光の高速位相変調に応じて試料のCARS光に生じる変調成分を抽出することで、multiplexなCARSスペクトルが取得できる。干渉計であらかじめ狭帯域光に大きな遅延を与えておけば、非共鳴CARS信号を抑制できるのがメリットである。本測定系のテストとして、クロロホルムの263, 369, 669[cm^-1]のラマンシフトを観測した。 2. in vitroでのα-synucleinの振動スペクトル測定 recombinant α-synuclein(Tris-HCl buffer溶液の凍結乾燥後粉末)の振動スペクトルを測定した。別に測定しておいたTris-HClの振動スペクトルのうち、主要なピークはrecombinant α-synclueinで測定した振動スペクトル中でも認められた。Tris-HCl由来と考えられるピークを減算することで、α-synucleinタンパク質本来のラマンスペクトルを導出することができた。他の神経変性疾患で脳に沈着が認められるポリグルタミン(Huntingtin-Q98)やAmyloidβと比較したときの、α-synucleinの振動スペクトルの特徴は、1001[cm^-1], 1450[c^m-1], 1652[cm^-1]のピークが目立たないこと、および、1300[cm^-1], 900[cm^-1]周辺の幅の広いピークが目立つことであった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画通り、非線形ラマン分光装置を開発し、実際にクロロホルム溶液試料のCARS(coherent anti-Stokes Raman scattering)スペクトルを測定した。また、α-synucleinのラマンスペクトルを測定し、そのスペクトル特徴を明らかにした。
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Strategy for Future Research Activity |
組織中でのα-synuclein凝集体の振動スペクトル測定技術を確立し、疾患脳中のα-synuclein凝集体の振動スペクトルを測定する。また、測定結果をin vitroでのスペクトルと比較する。 さらに、培養細胞の系で生成したα-synuclein凝集体の振動スペクトル測定を目指す。
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