2015 Fiscal Year Annual Research Report
脊髄小脳変性症6型におけるミクログリアを介する神経炎症と病態の関係
Project/Area Number |
26860661
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
相川 知徳 東京医科歯科大学, 脳統合機能研究センター, 助教 (10597149)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 脊髄小脳失調症6型 / プルキンエ細胞変性 / Toll like receptor / MyD88 / ミクログリア |
Outline of Annual Research Achievements |
脊髄小脳失調症6型(SCA6)マウスモデルMPI-118QやSca6-84Qの遺伝子発現解析によって, プルキンエ細胞変性より先行して神経炎症が惹起していたことを見出した. そこで神経炎症とSCA6発症の関連を検証する為に, 遺伝学的手法を用いて症状改善の有無を検討した. ミクログリアで発現しているDectin-1及びToll like receptor (Tlr)- 2, -7に着目した. Dectin-1はKOマウスを, Tlrはそのアダプター分子であるMyD88KOマウスを用いた. SCA6早期発症モデルMPI-118QとDectin-1KO及びMyD88KOマウスを掛け合せし, 症状を免疫組織化学的・行動学的に検証を試みた. 検証の結果, Dectin-1KOでは有為な改善は見られなかったが, MyD88KOにより症状が有意に改善されたことを確認できた. 改善のメカニズムとして, ミクログリア浸潤, サイトカイン発現量, ミクログリアサブタイプについて検討した所, サブタイプを示す遺伝子発現が神経保護性の機能を有するM2タイプ優位に変化している事を確認した. よって, 神経炎症がSCA6の症状に関与する事を確認した. また, ヒトSCA6検体小脳を組織化学的に検証しミクログリアがTLR2を発現している事を確認した. したがって, ヒトSCA6でも神経炎症が病態に関与する可能性を得た. 以上のことについて, 学会で発表を行い, さらに学術誌に投稿し受理された. 神経炎症は神経変性疾患において注目されており, 脊髄小脳失調症6型においてもその関連性を示唆する結果を得たことは, そのメカニズム解明を脊髄小脳失調症6型モデルを用いることでも可能であることを示唆している. 脊髄小脳失調症6型おいて神経炎症を惹起する分子の特定が期待される.
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