2015 Fiscal Year Research-status Report
脳アミロイドアンギオパチー関連炎症の病態機序の解明とバイオマーカーの確立
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26860664
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
吉倉 延亮 岐阜大学, 医学部附属病院, 助教 (80585654)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 脳アミロイドアンギオパチー / CAA-ri / 抗Aβ抗体 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度、Cerebral amyloid angiopathy related inflammation (CAA-ri)患者6名、Alzheimer’s disease (AD)患者50名、amnestic MCI患者21名、non-Alzheimer’s dementia患者9名の、髄液および血清抗Amyloid β(Aβ)抗体価を、当科で確立したELISA法で測定した。また髄液Aβ40, Aβ42, pTau181の値、血液脳関門の透過性の指標であるalbumin quotient (QAlb)、IgG indexを測定し患者群間で比較した。結果、髄液抗Aβ抗体価はその他疾患群と比較し、CAA-ri群で有意に高値だった。血清抗Aβ抗体価は、AD群と比較しCAA-ri群で有意に高値だった。CAA-ri群では、髄液Aβ40値がAD群と比較し、髄液pTau値がAD群およびnon-AD群と比較し有意に低値だった。髄液Aβ42値は、CAA-ri群、AD群で、non-AD群と比較し有意に低値だった。さらにCAA-ri群では、QAlb値がAD群およびMCI群と比較し高値で、IgG INDEX値はその他疾患群と比較し有意に高値であった。以上の結果から、特に髄液Aβ抗体価の上昇と髄液Aβ40およびAβ42値の低下が、診断にCAA-riの新たな診断バイオマーカーと成りうる可能性が示唆された。また、CAA-ri患者では、血清抗Aβ抗体価がQAlb値と有意な相関を示した(R = .943, P < .005)。CAA-riにおいて抗Aβ抗体価の上昇を伴う炎症病態が血液脳関門の破綻と関連する可能性が示唆された。さらにdot blot法を用いた検討では、CAA-ri患者における髄液抗Aβ抗体のサブクラスは主に、IgG2とIgG3で、AβをN末端部・中間部・C末端部の3つに分けたエピトープ解析では、主な線状エピトープは中間部とN末端部に存在した。また病理学的にCAA-riと確定診断した症例で、髄液サイトカインを検討したところ、炎症性サイトカインのIL-6, 白血球遊走因子のIL-8, Th1サイトカインのINF-γの上昇を確認した。この中のIL-8はCAA-ri患者6例全例で上昇を認め、CAA-riの病態において重要な役割を担っている可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでの研究により、抗Aβ抗体価の測定系を確立し、抗Aβ抗体、Aβ40、Aβ42、IL-8がCAA-riのバイオマーカーとなりうる可能性を見出したこと、CAA-ri患者の抗Aβ抗体の特徴として、QAlbとの相関性やサブクラスおよびエピトープを明らかにしたこと、IL-8が上昇することなど、今後CAA-riの病態機序の解明につながる結果が得られ、進行状況は概ね順調と考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、CAA-riの診断に有用な髄液抗Aβ抗体価のカットオフ値を確立するために、さらに症例数を増やし検討する必要がある。そのためにも病理学的に確認された診断確実例の髄液抗Aβ抗体価を測定する必要があると考える。
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