2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
26860676
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
小野 さやか 自治医科大学, 医学部, 助教 (10438640)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ドパミン / AADC / 遺伝子治療 / 青斑核 / Freezing of gait / ノルアドレナリン |
Outline of Annual Research Achievements |
高解像度positron emission tomography (PET)とアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターによる遺伝子導入技術を応用して, ヒトにおける大脳基底核の機能を明らかにする目的で研究を行った. ドパミンの生合成に働く芳香族アミノ酸脱炭酸酵素aromatic L-amino acid decarboxylase (AADC)の脳内活性の大部分は, 黒質緻密部ドパミン神経細胞から線条体に投射する軸索終末に存在する. また, 青斑核ノルアドレナリン神経のノルアドレナリン, 縫線核セロトニン神経のセロトニンの生合成にもAADCが必須である. AADCのトレーサーとして 6-[18F]fluoro-L-m-tyrosine (FMT)を使用して, Parkinson病 (PD)患者の脳内各部位のPET計測を実施した. 遺伝子治療では, 両側被殻にAADC遺伝子を発現するAAVベクターを注入し, 治療前と遺伝子導入5年後までのFMT集積を経時的に評価した. 運動症状はUnified Parkinson Disease Rating Scale (MDS-UPDRS)のPart IIIにより評価し歩行障害は, Freezing of gait questionnaire (FOGQ)で評価した.その結果, PDでは初期から被殻背外側部の集積低下が認められ, 発症3年以降は被殻全域で低下していた. 尾状核・側坐核の集積は被殻に比べ保たれていた. すくみ足の重症度は青斑核のFMT集積の低下と相関していた. 遺伝子治療では, 治療後から注入部位に一致して被殻のFMT集積が増加し 5年後にも持続していた. 被殻への遺伝子導入のみで運動症状に改善しており, 運動の遂行においては被殻の役割が大きいと考えられる。
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