2015 Fiscal Year Annual Research Report
先天性筋ジストロフィー症の脳形成異常における糖鎖機能の解析
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26860682
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Geriatric Hospital and Institute of Gerontology |
Principal Investigator |
山田 健之 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究員 (40725199)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | O-マンノース型糖鎖 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでにO-マンノース型糖鎖異常が、筋・眼・脳病 (muscle-eye-brain disease; MEB) などの中枢神経障害を伴う先天性筋ジストロフィー症の原因となることを明らかにした。O-マンノース型糖鎖は筋肉などの形成に重要な役割を担っていることが考えられるが、その詳細なメカニズムは解明されていない。そこで、マンノース転移酵素POMT1欠損マウスより多能性幹細胞を樹立し、臓器形成過程におけるO-マンノース型糖鎖の役割の解析を試みたが、多能性幹細胞の樹立がうまく行かなかった。 そこで、MEBの原因遺伝として知られ、O-マンノース型糖鎖の生合成に関わる糖転移酵素であるPOMGNT1に着目した。網膜色素変性症 (retinitis pigmentosa: RP) は網膜視細胞の変性により、視野狭窄などの進行性の視覚障害を生じる遺伝性疾患である。RPの原因遺伝子として少なくとも79個の遺伝子が同定されているが、未だ約40%は原因が不明である。 O-マンノース型糖鎖は網膜に存在し、MEBでは網膜異常が認められる。そこで、原因の特定されていないRP患者のO-マンノース型糖鎖関連遺伝子について調べた。その結果、RPの家系からPOMGNT1遺伝子の新たな変異を同定した。これらのPOMGNT1変異体の酵素活性を測定した結果、活性の減少がみられたが、完全には失活していなかった。これらの変異では弱い活性が残ることでMEBを発症しないが、O-マンノース型糖鎖修飾は不完全となることで、成長後にRPを発症するリスクが生じることが分かった。以上より、部分的なO-マンノース型糖鎖異常は乳幼児期の発生には悪影響を及ぼさないが、 O-マンノース型糖鎖修飾を受けるタンパク質や網膜視細胞の機能が加齢により維持できなくなることでRPを発症する機構が考えられる。今後、原因遺伝子が未同定のRPで他のO-マンノース型糖鎖に関わる糖転移酵素に異常がないか、検討を進めていきたい。
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Research Products
(2 results)
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[Journal Article] Mutations in POMGNT1 cause non-syndromic retinitis pigmentosa2016
Author(s)
Mingchu Xu, Takeyuki Yamada, Zixi Sun, Aiden Eblimit, Irma Lopez, Feng Wang, Hiroshi Manya, Shan Xu, Li Zhao, Yumei Li, Adva Kimchi, Dror Sharon, Ruifang Sui, Tamao Endo, Robert K. Koenekoop and Rui Chen
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Journal Title
Human Molecular Genetics
Volume: 25
Pages: 1479-1488
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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