2015 Fiscal Year Research-status Report
生体のエネルギー消費能力を増大させる褐色脂肪由来アディポカインの同定
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26860684
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
岡松 優子 北海道大学, (連合)獣医学研究科, 講師 (90527178)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 褐色脂肪 / アディポカイン / 脂肪細胞 / エネルギー代謝 / 細胞増殖 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、褐色脂肪細胞の自己増殖経路の解明に向けて以下の実験を行なった。 1) これまでの結果から、寒冷刺激により褐色脂肪細胞の分裂増殖が亢進することが明らかになっていたので、交感神経の関与を明確にするために、アドレナリンβ3受容体作動薬CL316,243を投与して褐色脂肪細胞の自己増殖への影響を調べた。CL投与により増殖が亢進したことから、褐色脂肪細胞の自己増殖の制御には交感神経が重要であると考えられた。 2) 成熟細胞の自己増殖が褐色脂肪細胞に特異的な経路であるか否かを調べるために、成熟脂肪細胞特異的に細胞周期の進行を抑制したトランスジェニックマウスを用いて実験を行った。野生型マウスでは、CLを長期間投与すると白色脂肪組織中にベージュ脂肪細胞が誘導され、マーカー分子であるUCP1が発現した。トランスジェニックマウスにおいても、野生型マウスと同程度にベージュ脂肪細胞とUCP1発現が誘導されたことから、ベージュ脂肪細胞は自己増殖能を持たないことが推測された。 3) 褐色脂肪細胞の自己増殖が誘導される際に、どのような遺伝子発現の変動があるか、どのような代謝の変化があるかを明らかにするために、RNA-seq解析とメタボローム解析を行なった。現在解析を進めており、自己増殖を誘導する因子の候補を絞り込んでいる。来年度は、それらの候補因子について増殖誘導能の検証を行なう予定である。 以上の結果より、褐色脂肪細胞の増殖を制御する経路の一端と、褐色脂肪細胞の特異性が明らかになった。今後は制御因子に焦点あてて研究を進めることで、褐色脂肪細胞を増やす方法の開発に向けた基礎的データを得たい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
予定通りRNA-seq解析を行なうことができたが、絞り込んだ因子についてのin vitroおよびin vivoでの検証を急ぐ必要があるので、「(3)やや遅れている。」と評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
RNA-seq解析の結果をもとに、褐色脂肪細胞の自己増殖に伴い発現や分泌が増加するサイトカインや増殖因子を絞り込み、増殖促進作用があるか否かをin vitroおよびin vivoで検証する予定である。
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Causes of Carryover |
次年度使用額:383,313円のうち、353,342円は消耗品等で執行・納品済みである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
残り29,971円は翌年度の消耗品として使用予定。
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Research Products
(8 results)