2014 Fiscal Year Research-status Report
2型糖尿病患者における重症低血糖が及ぼす臨床的影響
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26860701
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Research Institution | Research Institute, International Medical Center of Japan |
Principal Investigator |
辻本 哲郎 独立行政法人国立国際医療研究センター, その他部局等, その他 (60721743)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 重症低血糖 |
Outline of Annual Research Achievements |
2型糖尿病(DM)において重症低血糖が心血管疾患や死亡リスクを上昇させる可能性が指摘されている。また、1型DMにおいては心血管疾患との関連を示唆する報告は少ないが、「dead-in-bed syndrome」と呼ばれる睡眠中の突然死が重症低血糖と関連している可能性が指摘されている。その原因としては重症低血糖がQTを延長させ、致死的不整脈を誘発した可能性が指摘されている。しかし、睡眠中の重症低血糖の危険性について十分解明されておらず、不明な点が多いのが現状である。今回の我々の研究目的は重症低血糖発症の時間帯によりQT延長を呈する割合に違いがあるか調査することであり、下記の研究結果をAnnals of Medicine(IF 5)に報告した。 対象は2006年1月から2012年3月に国立国際医療研究センターに救急搬送され、重症低血糖と診断された患者とした。全59,602症例がスクリーニングを受け、最終的に287人(DM 192人、non-DM 95人)が調査対象となった。重症低血糖を午前4-10時の早朝発症群とそれ以外の時間帯に発症した群に分けると、QT延長(QTc≧0.44 秒)を示した割合はDMにおいてはそれぞれ74.3%と54.1% (P = 0.02)であり、non-DMおいても78.3%と50.0% (P = 0.01)で早朝発症群で有意に多かった。多重ロジスティック解析の結果、早朝に発症した重症低血糖はQT延長の独立したリスク因子であった (糖尿病患者:調整オッズ比 2.80, 95%信頼区間 1.15-6.80, P = 0.02. 非糖尿病患者: 調整オッズ比 4.53, 95%信頼区間 1.30-15.74, P = 0.01)。低血糖の原因に関係なく、早朝の重症低血糖はQT延長のリスク因子であることが示唆され、本研究は糖尿病治療に大きく貢献するものと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究結果をpeer review systemのあるジャーナルに投稿し、アクセプトされており、研究は順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
重症低血糖時の血圧上昇や低カリウム血症発症に関する予測因子や重症低血糖後の腎機能の変化についてさらに研究を進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
物品費として研究用パソコン、統計解析ソフトなどの購入を予定していたが平成26年度は見送ったこと、人件費を使用しなかったこと、学会関連の旅費を勤務先から支出していただいたことなどにより次年度使用額が生じたと考えられる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成26年度は主に英文校正や専門業者による作図などに研究費を使用したが、購入を見送った必要な物品等を平成27年度以降に購入していく。
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Research Products
(2 results)