2014 Fiscal Year Research-status Report
肥満脂肪組織マクロファージにおける細胞内炎症のエピジェネティック制御機構の解明
Project/Area Number |
26860704
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
蜂屋 瑠見 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 特任助教 (50365318)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 慢性炎症 / エピジェネティクス / マクロファージ / 肥満 |
Outline of Annual Research Achievements |
メタボリックシンドロームの基盤病態として、肥満脂肪組織における慢性炎症が想定されているが、細胞内の炎症の慢性化機構は不明点が多い。申請者は、細胞記憶の観点から、エピジェネティック因子に注目し、マクロファージにおいて、転写抑制に関わるヒストンH3K9メチル化酵素ESET/SETDB1(以下SETDB1)が炎症性サイトカイン発現を負に調節することを予備的に見出した。本研究は、肥満脂肪組織におけるマクロファージSETDB1の病態生理的意義を探索し、エピジェネティック制御という切り口から肥満脂肪組織炎症の慢性化の分子機序を明らかにする。 初年度である本年度は、SETDB1による炎症性サイトカイン発現制御の報告が全くないことから、炎症性サイトカイン発現解析の主要な実験系である急性炎症系(LPS(細胞内毒素)投与など)を用いて解析した。 野生型およびSETDB1を機能欠損(ノックアウト、ノックダウン)したマクロファージを用いて、マイクロアレイ法により網羅的遺伝子発現解析を行った。野生型においてリポポリサッカライド誘導性に発現が上昇する遺伝子群のうち、SETDB1の機能欠損によって、より発現が上昇する遺伝子群をパスウェイ解析した結果、炎症性サイトカインが多く集積していた。定量的PCRにより、SETDB1の機能欠損はLPSによる炎症性サイトカイン発現誘導を増強することを確認した。この条件下におけるSETDB1の過剰発現は阻害効果をキャンセルしたが、酵素活性を有しない変異体の過剰発現は効果を示さなかった。さらに、SETDB1の欠損は、炎症性サイトカインプロモーター部位のヒストンを部分的に脱メチル化した。 我々が同定したSETDB1は、ヒストンメチル化酵素活性を介して、マクロファージにおける炎症性サイトカイン発現を抑制することを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おおむね当初の実施計画に沿って研究が進展している
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Strategy for Future Research Activity |
慢性炎症でのSETDB1の意義について検討していく
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